
「データとデジタル技術を活用し、製品やサービスをはじめ業務そのものや組織を変革すること」と定義されるDX。企業や経済そのものを左右することから、いまや国をあげてDX化推進は急務となっていますが、具体的に会社をあげてDXを推し進めるにはどうすればいいのでしょうか。デジタル責任者(CDO)としてDX戦略の策定・推進を行うOKI(沖電気工業株式会社)専務の坪井正志氏が、自社のDX戦略をもとに解説します。
「会社のあるべき姿」=「DXで変革したいこと」
経済産業省が発行した「DX推進指標とそのガイダンス」では、DXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
要は、DXによって「会社全般について変革を行うべき」と提唱しているのです。これを具体的に取り組むには、どのようなアプローチがいいのでしょうか。
まず大事なことは、会社方針の根幹である「経営ビジョン」と、「DXで変革しようとしていること」が一致している必要があります。経営ビジョンを「会社のあるべき姿」と考えると、現実とのギャップが明確になるでしょう。
広告の後にも続きます
多くの会社がそのギャップを意識したうえで、中期的な経営計画を策定していくことになります。その経営計画とDXのX(変革)を連動させ、その実現にD(デジタル技術)を活用するという流れです。
このアウトプットとして、ビジネス成長のための新商品・サービスの創出を行うとともに、これを継続して行えるよう並行して組織風土や業務プロセスを変革していきます。
OKIが推し進める「DX4象限」
筆者は情報通信ベンダーのOKIでデジタル責任者(CDO)をしていますが、OKIは2022年6月に「DX戦略」を発表しています。
このDX戦略におけるポイントは、「DX4象限と外部化」というモデルをもとにDX戦略を実行することです。下図がDX4象限です。
横軸に「生産性強化」と「競争力強化」を置き、縦軸に「ビジネスプロセス変革」と「ビジネスモデル変革」を置いています。
各象限は、第1象限「新ソリューション創出」、第2象限「組織の変革」、第3象限「業務プロセスの変革」、第4象限「既存ソリューション強化」と定義。