
昨年12月、東京・神田にある和食料理店「神田明神下 みやび」で、ソアーヴェと和食のプレゼンテーション・ディナーが開かれた。天ぷらをはじめとした料理とワインを合わせながら、ソアーヴェと和食の相性を探った。
ソアーヴェとは
ソアーヴェは、ガルガネガという土着白ブドウを主に、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェなどをブレンドして造られる優美でフレッシュな白ワイン。産地はイタリア北部に位置するヴェネト州の西側、ヴェローナ県にある。
ソアーヴェは古代ローマ時代にもその質の高さで高い評価を得ていた言われる。ここ30年ほどでは、1995年からブドウ栽培地域の区画分けのプロジェクトが始まり、ブドウ品種、気候、土壌、文化的財産、微生物の生態系などの調査が行われた。細かな分析により、現在では33のクリュ(畑)が認定されている。
ソアーヴェを和食と合わせる
この日、神田明神下 みやびの料理と合わせて、7種類のソアーヴェが供された。
『“セッテンブリーノ” ソアーヴェ・スプマンテ ミッレジマート 2021年』(生産者:レ・バッティステッレ)は、今回唯一のスパークリング。「ソアーヴェワイン保護協会」による「Soave By The Glass キャンペーン」をきっかけに、インポーターが生産者にリクエストして生まれた銘柄だ。隣接地域でプロセッコが造られていることから、ソアーヴェのスパークリングは珍しいという。味わいにはふくらみがあり、果実由来の甘味が感じられる。
広告の後にも続きます
『“ヴィカリオ” ソアーヴェ・クラッシコ 2021年』(カンティーナ・ディ・モンテフォルテ)は、スミレ、エルダーフラワー、ほのかなオークなど複雑な香りが特徴。味わいは豊かで、アーモンドのニュアンスも。
『“デューカ・デル・フラッシノ” ソアーヴェ・クラッシコ 2021年』(カンティーナ・ディ・ソアーヴェ)は、リンゴを中心とした果実の繊細なアロマが漂う。
ともに合わせたのはアマダイやクルマエビ、レンコンなどの天ぷら。ヴィカリオはそのふくよかさが魚介の旨味を引き立て、デューカ・デル・フラッシノは滑らかな口当たりが天ぷらのテクスチャーと見事な調和を見せた。

『ソアーヴェ 2021年』(ジャンニ・テッサーリ)は、白い花やセージを伴う柑橘類の香りで、酸とミネラルのバランスが良い。同じ生産者の造る『“スカレッテ” ソアーヴェ・クラッシコ 2021年』は、フレッシュながらほのかにアーモンドを感じさせる味わいで、長い余韻を楽しむことができる。
どちらのワインもガルガネガに加え、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェが10パーセント使われている。トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェはガルガネガに比べて果皮が薄く、寒暖差によるアロマが出やすいのが特徴だ。デリケートな香りで、ワインに豊かな酸と繊細な塩味をもたらす。
『“モンテ・チェリアーニ” ソアーヴェ 2019年』(テヌータ・サンアントニオ)はヴァルポリチェッラ地区寄りの、石灰質と火山質の混ざった土壌で造られるワイン。厚みがありながらも、みずみずしい酸やミネラルも感じられて、バランス良く心地いい味わいだ。
『“ネッターレ・ディ・バッコ” レチョート・ディ・ソアーヴェ 2019年』(モンテ・トンド)は、エキゾチックなフルーツやヴァニラ、アーモンドの香りを持つ甘口ワイン。レチョートは陰干しされたブドウを用いて造るヴェネト州の甘口ワインで、このワインはガルガネガの持つ酸と苦味を生かすことで、フレッシュ感も残した現代風なレチョートに仕上げられている。
