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5分でわかるニーチェ|ヨーロッパ哲学の破壊を試みた哲学者|元教員が解説

ホンシェルジュ

ヨーロッパの近代哲学はデカルトによって始まります。デカルトは神との関係性から、理性の正しさを証明しようと試みます。デカルトは我々に備わっている理性は「神から与えられたプレゼント」であるとして「我々人間の保護者として、常に神がいるため理性は正しく作用する」と主張します。

デカルトを継承したカントは、人間と神との関係性を排除しました。カントは「神の保証がなくても、世界を合理的に認識できる力」を理性に与えたのです。さらにヘーゲルは「理性の進歩」を主張します。理性に従いながら「理想的な社会を作る力」まで人間に約束したのです。

しかし現代の社会はどうでしょうか? 様々な課題がありますが、特に環境問題は深刻です。今後、人類が地球に住むことすら怪しくなりつつあります。また近年の世界情勢の緊迫化に伴い、核兵器の使用が現実味を帯びてきています。人類の終わりは近いかもしれません。

ヨーロッパ哲学の破壊を試みたニーチェ

20世紀初頭に活躍した哲学者ハイデガーは

「ヘーゲルによって、ヨーロッパ哲学は完成し、以後は技術として猛威をふるうだろう」

と言いました。

19世紀に入ると、イギリスをきっかけとして「産業革命」が起き、ヨーロッパ全体で技術文明が推し進められます。機械化・工業化が進展し、合理的に社会を設計・管理する社会へと大きく変化します。

産業革命による「資本主義」は、さまざまな社会問題を生み出します。当時、イギリスに住んでいたマルクスが注目したのは「児童労働」です。リバプールにおける労働者の平均寿命が、なんと15歳であることを、彼はリポートしています。

このようにハイデガーだけではなく、科学技術が世界を覆うことに危機感を抱く人々が、19世紀後半あたりから多く登場します。マルクスやドストエフスキー、そしてニーチェです。

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特にニーチェは、ヨーロッパ哲学の破壊と再構築を試みた哲学者です。しかしナチス・ドイツの思想に繋がったなど、誤解の多い哲学者の1人でもあります。

そこで今回は、ニーチェの思想を取り上げたいと思います。「ヨーロッパ哲学のどこに根本的な問題があるのか?」「ヨーロッパ哲学をどのように克服しようとしたのか? 」という点を念頭に置きながら、なるべく分かりやすくニーチェを解説したいと思います。

ニーチェと聞いて真っ先に思い浮かべるのが、

「神は死んだ」

という言葉ではないでしょうか? ニーチェの主著とも言われる『ツァラトゥストラかく語りき』の中に出てくるフレーズです。

ではそもそも、この「神」とは一体何なのでしょうか? 多くの解説書はキリスト教の否定であると主張しています。

近代社会に入り、ヨーロッパ社会の中心を担ってきたキリスト教の指導力が衰え、人々は生きる意味を見失っている。ヨーロッパは「ニヒリズム」という状態に陥っているというのが、一般的な解釈になります。

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