YouTubeやTikTokなど、SNSの存在で身近になった「映像表現」の世界。しかし、ただ漫然と映像を撮っていても伝えたいことが伝わるわけではない。
2020年に開講した「MXテレビ映像学院」は、TOKYO MXのグループが運営する映像制作のスクール。現在2期生が学んでいる映像クリエーター講座では、1年間のカリキュラムでひとりで企画・構成・撮影・照明・編集など映像制作のすべてができる人材を育成している。同学院で事務局を務める中村博さんと、統括講師の小林重幸さんに聞いた。
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映像クリエーター講座は水曜・金曜の夜間に行われ、今年4月から土曜の午前クラスを追加予定。各クラスの定員は15名で、受講生の年齢層は20代から60代までと幅広い。多くは40~50代で男女比はほぼ変わらないといい、バックグラウンドもさまざまだ。
「経営者やフリーランスで映像分野への進出や強化を目指している方、企業や団体の広報担当でスキルとして映像を見極める力を身につけたい方、コンサルタント業務の中で映像に関する依頼が増えている方など、映像技術を習得してご自身のビジネスや業務に生かしたいという方がほとんどです。社会人が多いのも特長で、仕事の都合で出席できない場合は他クラスへの振り替えや、講義の様子をYouTubeで配信するなどしてフォローしています」(中村さん)
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受講希望者には対面とオンラインで説明会を行っており、申し込み後に面接を行いどのようなことを学びたいのかをヒアリング。なるべくそれぞれの希望に合わせて指導するなどきめ細かな対応を行っている。
「映像クリエーター講座では撮影・編集の基礎から応用までを学び、その技術を使って実際に作品を作りながら、さらに現場や実情に即した撮影・編集技術を高めていきます。だいたい3カ月ごとに少しずつステップアップして、皆さんが着実に映像スキルが身につくような形でやっています」(中村さん)
「授業の内容は大きく2つに分かれていて、ひとつは撮影・編集・映像加工などの映像技術の部分。もうひとつはどうやって表現したいものを映像にするかという企画の部分。それぞれを基礎、応用、実践とスキルアップしていくのが特長です」(小林さん)

2期生の例でいうと “外国人におすすめしたい東京” というテーマで3分間の作品を制作。授業と並行して “神社仏閣” “公園” など身近なテーマで30秒程度の課題を出し、ビジネスチャット上で講師陣がワンカットごとにコメントするなど、個人のスキルに合わせた指導を徹底している。
「今、2期生は修了制作に取り組んでいるのですが、もともと全く映像表現を知らなかった受講生たちが、皆さん目に見えて撮影技術が上達しています」と中村さん。使用する映像機材は基本的に学校から貸与されるが、すでに機材を持っている人や希望の機材がある人はそちらを使用しても構わない。TOKYO MXのグループ会社が運営するということで、番組のスタジオ見学や出演者の講義、プロのカメラマンが手取り足取り教える野外実習なども充実。
「2期生では朝の情報番組『モーニングFLAG』で知られる堀潤さんの講義がありました。ご自身でも撮影して発信される方なので、ジャーナリスティックな視点での映像の捉え方など、多くの受講生の刺激になったようで非常に好評でした。また、修了制作の優秀作品は番組内で放送することも考えています」(中村さん)