渋谷SAUNASはJR渋谷駅の南口から徒歩8分ほど。駅の改装工事で駅直結の屋根付き歩道橋ができたので、雨でも傘をささずに移動できてありがたい。
歩道橋を渡り、桜丘の坂を登った先がお目当ての場所だ。
目印は光り輝く「サ」の文字盤
女性も手ぶらでOK!「かゆいところに手が届く」サウナ
昼食からは時間も経っており、サウナ前のコンディションは上々。土日祝は利用料金が2時間3500円。1時間800円で延長もできるので、ゆっくり入りたい人は検討してみてもいいかもしれない。
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東京のサウナ施設としては相場の範囲内。もちろん銭湯サウナよりは値が張るが、サウナ施設は施設内のクオリティやアメニティ力に期待できる。バスタオルにフェイスタオル、館内着も無料で、スキンケア関係のアメニティにもこだわっているらしい。
「女性でも完全手ぶら可能」という噂を信じ、サウナハット1枚だけでやってきた。タオルまで用意するといつも意外とかさばるのだが、今回はハンドバッグ1つで来れたのもうれしいポイントだ。
男湯と女湯は隔日入れ替え制で、この日は女性が「WOODS」、男性が「LAMPI」。サウナラインナップも別々のようで、サウナ後の語らいも楽しめそうな予感だ。まずは、私が体験した「WOODS」側のサウナをレポートしていく。
「WOODS」には5種類のサウナに2種類の水風呂、そしてシャワーブースがラインナップされている。まずはシャワーブースで身体を洗い、さっそくサウナに入っていく。
浴室内は2階・3階に分かれている珍しい構造。2階には2種類のサウナと1種類の水風呂があり、浴室内はかなりシームレスなデザイン設計。聞くと、サウナ体験に没頭して欲しいというプロデューサーからの希望で、余計な張り紙や説明書きも、なるべく排除しているのだという。

最初に入ったのは「VHITA SAUNA」。サウナ内は半個室になっていて照明も暗く、座り込むとそこはまるで、1人きりの空間。サウナ全体にフィンランドサウナには欠かせないヴィヒタのグリーンな香りが広がっていて、とても落ち着く。どのサウナにも共通していたのが、見当たる範囲に時計や温度計がないこと。温度や時間を気にせず、好きなだけ入り、暑くなったらいつでも出れるようにという配慮の現れだ。
で、8分ごとに訪れるロウリュがこれまたいい。爆風というほどではないのだが、サウナ内の温度は一気に上がる。間隔も細かいので「ロウリュを楽しむなら、◯分には水風呂を浴びてたいから……」という計算もいらない。ロウリュの間隔は今後変わる可能性もあるそうだが、なるべく多くの人にロウリュの気持ちよさを楽しんでもらいたいという思いもあるそう。

サウナ後の水風呂も、これまた珍しい「寝水」タイプ。ベッド型で区切られているので、パーソナルスペースを気にせずに水に浸かれる。頭のあたりが少し持ち上がっていて、そこまでひたひたに水が溜まっているので、頭までラクに冷やすことができる。
ベンチも6〜8人は座れるくらい用意してあり、横にはリフレッシュウォーターも用意してあった。まさに、かゆいところすべてに手が行き届いていて感動。いつもならガーンとととのうまでに2回転はかかるのだが、今回は1回目からふわふわといい心地だ。
もう一つのサウナは「HARMAA SAUNA」。サウナ室内はグレー調でまとめられていて、なんだか心が落ち着く。室内は広くある意味シンプルなので、何度でも入りたくなるサウナだった。

5種類のサウナで、2時間なんてあっという間
3階部分は中庭で外気浴を楽しめる構造。冬は寒いと思うかもしれないが、サウナ後の身体にはこれがまたちょうどいい。3階にも3種類のサウナ、1種類の水風呂が用意されている。

「TEETÄ SAUNA」は茶室がイメージされており、丸く暗い室内でじんわりとサウナを楽しめる。どのサウナも音楽が流れておらず、没入感があるのも特徴だろうか。聞こえるのはサウナストーブの音だけで、あとは隣の人がマッサージをする音、ため息をつく声くらい。男女で来るとサウナに入る時は1人だけど、サウナスは年齢層が若く、OL世代の女性が多く、なんとなく親近感も感じた。
3階の水風呂は立って入れる深めタイプ。しかも定期的に頭上から水が落ちてくるので、滝に打たれながらしっかり頭も冷やすことができる。「WOODS」の外気浴スペースはかなり広く、みんなのびのびと木のベンチに座ったり、寝転がったり。何度も温冷交代浴をした後の身体で横たわると、すっと意識が飛んで行きそうになる。
残りのサウナはアウフグースも行われる特大サイズの「TUULI SAUNA」と、優しい木材の香りの「KELO SAUNA」。アウフグースはスケジュール時間外だったが、TUULIは中がかなり広いため、かなりダラダラできる。人が少なければ寝転んで入ることもできるため、ここでも夢の「寝サウナ」が体験できた。KELOは他サウナと比べると低温で、気づくと15分以上入ってしまっていた。こんな感じで体験していると2時間はあっという間で、結局私たちの延長することにした。
女性にもうれしいボタニカルなアメニティと、ヘルシーサ飯も充実
女性目線にはなるが、個人的に湯上がり体験もとてもよかった。なんと、スキンケアアメニティに「OSAJI」が採用されていて、クレンジングに化粧水、ジェルまで揃っている。
スーパー銭湯やサウナ施設にはスキンケア類が常設されている場合もあるが、それなりの美意識を持つ女性には物足りず、結局自前のものを持っていくことがほとんどだ。けれど、敏感肌でも使える日本製の「OSAJI」なら、安心して使うことができる。最近流行しだしたブランドでもあるので、トータルケアとして使えるのもうれしい。

それと意外と取り上げられていないのだが、ドライヤーが最高級だ。「レプロナイザー」は今や誰もが知る高級ドライヤーで、世代によるが値段は5〜10万円ほど。買うにはハードルの高いドライヤーだが、その使用感はまさにやみつき。
このドライヤーで乾かすだけで、なぜか髪がするんとした指通りになる。銭湯に行く時はドライヤーも持参することすらあるが、これならサウナで乾燥した髪にもかなり優しい。
アメニティ類に大満足して階下に降りると、すでにパートナーが待っていた。せっかく延長したので、サウナスこだわりの「サ飯」を食べながら、サウナ体験を語り合うことにした。
レストランメニューはヴィーガン対応のヘルシーメニューで、ミシュラン2つ星を16年連続で獲得し続けている精進料理店『醍醐』の4代目が監修。サウナ後はお腹が空きやすいが、ここで罪悪感の強いものを食べると、後々後悔する。おいしくヘルシーなサ飯が食べられるなら、下手に外に出るより満足感が高そうだ。

頼んだのはラーメンとカレー。どちらもサウナ後食べたくなる濃いめの料理だが、ヴィーガンメニューと言われると多少の罪悪感が晴れる。特にカレーが絶品で、甘くて辛いカレーに、彩りも食感もよい野菜たちがよく合う。
飲み物も一工夫されたものが多く悩んでしまったが、私たちは「クラフトラムコーク」と「黒糖バナナミルク」を注文。手作りコークはスパイシーで生感があったし、バナナミルクも優しい美味しさだ。飲み物もこだわりがあり、いつもの「オロポにビール一択」とは違う体験ができる。いつもはガブガブビールを飲んじゃうパートナーも、美味しい料理とカクテルで、おしゃれな夕食を楽しんでいた。

一度来れば、また次も来たくなる
食後にドーナツをつまみながら、互いの感想を語り合う。「LAMPI」側も温度計は置かれていないようで、いつもするサウナのセッティングトークにはならなかった。
だが「LAMPI」には「WOODS」にはないサウナがいくつかあり、特に「SOUND SAUNA」が最高だったそう。ウーハーから低音が流れるサウナらしい。その他、まさに寝ながらサウナに入れる「BED SAUNA」も気になった。男女で設定を変えているわけではないからこそ、熱め・冷ためでガツガツサウナを楽しむ派より、マイルド派の男性に向いていそうだ。
男性サウナは土日・夜帯は混み合っている時間も多そうだが、上手く平日を利用すればゆったり入れるタイミングもありそうだ。公式サイトに混雑情報が更新されるので、参考にしてから予約日を考えるのもいいかもしれない。
結局お互い「入らなかった方のサウナも気になるなあ!」という話になり、早急に男女逆設定の日にもう一度来ようと約束したのだった。
サウナスに来て、男用、女用という設定がなくてもサウナは楽しめるということを再認識した。かゆいところに手の届く心遣いの心地よさ、サウナへの熱いこだわり。まさに身も心も休まる、極上のサウナ体験だった。ぜひみなさん、最低でも2回訪れて、どちらのサウナが好みか確かめてみてほしい。
(取材と文・ミクニシオリ)