
1月に世界初挑戦を果たすも偶然のバッティングにより試合が「No Decision(無判定)」となる疑惑の裁定で王座奪取を逃したプロボクサーの重岡銀次朗(ワタナベ)が2月2日、次戦に向けて再始動した。
重岡はプロボクシングの元3階級制覇王者の亀田興毅氏がファウンダーを務める「3150FIGHT vol.4」(1月6日、大阪・エディオンアリーナ大阪第1競技場)でIBF世界ミニマム級王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)に挑戦。しかし3R途中に起こった偶然のバッティングによるダメージを訴えたバラダレスが試合続行不可能となったことから試合はストップ。裁定が二転三転する中、最終的には「No Decision(無判定)」となり、試合後すぐに亀田氏はIBFに再戦を要望する意向を示していた。
この日はまず会見が行われ、亀田氏がその後の経過を説明した。亀田氏によるとバッティングが起こるまでの状況を映像等で詳細に分析したうえで、写真等を添付した資料を作成し、JBCに提出。JBCがこれを検証したうえでIBFに試合で起こった事象を検証した資料を提出し、同時に再戦を要望。現在はその返事を待っている状況とのこと。亀田氏は「バラダレスは鼓膜が破れているという。映像を見ると右フックがまともに当たっているので、それで鼓膜が破れてめまいの症状が出たんだと思う。バッティングで鼓膜は破れない」などとの見解も示した。

亀田氏としては3150FIGHTの東京進出第1弾大会となる「3150FIGHT vol.5」(4月16日、東京・国立代々木競技場 第二体育館)での再戦を実現させたいところだが、今はIBFの結論を待つしかない状況だ。
また所属するワタナベボクシングジムの渡辺均会長は「コロナでチャンスは延びたが、銀次朗がデビューした時から世界を獲る選手だと思っていた。あの試合は残念な結果になったが、強いということが私も確認できたし、皆さんからも“銀次朗はすごいな”という評価を得たと思う。それが次のチャンスの力になると思う。もっと大きな選手になれるように指導していきたい」などと語った。
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重岡は会見では「1カ月経つが毎日思い出す。毎日思い出して、最初はいらついていたが、その後に徐々に悔しさも出てきて“もっとこうできたのでは”とかボクシングで自分にできることがあったのではという反省も、3Rだけだがあったりした。でも気持ちは切り替えられているので、次の試合までにもっと進化するためにどうすればいいかということを考えながら生活していた」などと悔しさを滲ませながらも前向きな姿勢を見せた。

試合後には地元の熊本に帰郷。「熊本の自然を感じながらリフレッシュしてきた。だいぶ休んだ(笑)。9~10kgくらい減量したが一瞬で戻るくらいには食べ続けていました(笑)。会う人会う人みんな“頑張ったね”“残念だったね”と言って食べ物を与えてくれる。おいしそうだし、残すわけにもいかないので食べ続けてました(笑)」などと短いオフを満喫。その中でも「ママの手料理が一番おいしかった。コロッケとかカレーとか。親が作るコロッケが好き」とのことだった。
4月での再戦についてはどう転ぶか分からない状況ではあるが「調整はできます。そこで再戦ができれば。自分は結果が覆えればとかは考えていない。もう一度、同じ選手とベルトをかけてやらせてもらえれば文句はない。取りあえず4月16日に再戦ができれば」と語り、この間の調整については「気持ちは切り替えられているので、まずは再戦が決まることを願って、自分は次こそしっかり倒して勝てるように自分のボクシングを見直したい。もう一度バラダレスとやれるというつもりで練習を始めようと思う。といってもバラダレス対策というわけではなく、今まで通り、自分のやりたいボクシングを極めるための練習になる」などと語った。
「熊本では走ったりもしていなかった」と語っていた重岡だったが会見後には軽快なシャドーボクシングを披露した。