
話し合いが進まないときや、なかなか結論が出ない会議。良かれと思って提案したのにムッとされてしまい、微妙な雰囲気に…..なんて経験はないだろうか。
自分の意見や考えを伝えるとき、まして反論するときは、誰しも緊張するもの。言い方やタイミングによっては誤解されてしまうこともある。場の雰囲気を悪くすることなく、上手に伝えるにはどうすればよいのだろうか。
元TBSアナウンサーで、「ことばによる自己表現」をテーマに人材育成の場で活躍している今井登茂子さんの最新刊『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)から、上手な提案の仕方を見ていこう。
「提案」が「押しつけ」にならないために
たとえば仕事の分担について話し合いをしているときに、こんな風に言われたとしたら、どう感じるだろうか?
「〇〇さんが選んで、私が発注しますか?」
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たとえそれが妥当な案だったとしても、あるいは「どちらでもいい」と思っていたとしても、こう言われると「なんであなたが勝手に決めるの?」とムッとするかもしれない。
では、こんな言い方ならどうだろう?
「たとえば
〇〇さんが選んで、私が発注をする
というのはいかがですか?」
同じことを言われても、受け入れやすいのではないだろうか。
この「たとえば~というのはいかがですか?」こそ、あなたの品格を上げる「ちょい足しことば」だ。ほんのひとこと加えるだけで生まれる、大きな効果とは? 本書から見ていこう。

~以下、第6章より一部抜粋~
人は相手に決められることを好まない
会議や議論の場において「こんな意見や考えもありますよ」と提案する際に、あなたの決めつけや押しつけと受け取られると、場がピリッと緊張してしまいます。
「たとえば」ということばは、自分が述べているのは、あくまで一つの意見や案であって、相手の選択肢を増やすのに役立ててもらったり、この提案をさらに広げたり、アレンジしたりしてもらえたら、という柔軟性があることを示します。
さらに「いかがですか?」と問いかけることで、ボールを相手に渡します。
自分のアイデアを採用してほしいときであっても、こうした表現のほうが、相手も受け入れやすいし、検討しようかという気持ちになり、ほかの人が意見を出しやすい提案になります。