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イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ…時代を切り拓く成功者たちが持つ「野心」の正体【脳科学者・茂木健一郎が解説】

幻冬舎ゴールドオンライン

脳科学者である茂木健一郎氏は著書のなかで、不確実性の時代を生き抜くには「論理的思考力」と「精度の高い仮説を立てる力」が必要だと述べています。これらはどちらも“左脳的”な要素ですが、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズといった成功者たちは“右脳的”な要素である「野心」を持ち合わせているといいます。時代を切り拓く「野心」とはいったいなんでしょうか。みていきます。※本連載は、茂木健一郎氏の著書『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

「アニマルスピリッツ=野心」が時代を切り拓く

変化と多様性の時代を生きていくには「論理的思考力」と、道なき道を行くための「コンパス=仮説力(地図を書き換える力)」が必要ですが、これらの力はどちらもロジック、左脳的要素です。

皆さんご存知のように、脳には左脳と右脳があります。左脳と右脳にはそれぞれ役割、機能があり、そのバランスが大切です。左脳的要素だけでも右脳的要素だけでもうまくいきません。本当に頭がいい人は、右脳的にも左脳的にも高い知性を持つ人です。この、右脳的なかしこさ、知性の柱として、「アニマルスピリッツ」を持つことを提案します。

アニマルスピリッツとは、イギリスの経済学者ケインズ(ニュートンの草稿を競り落としたあのケインズです)が使用した用語です。合理的な動機に基づいて行なわれる経済活動の中で生じ、時に経済活動を左右する合理的には説明できない不確定な心理を指すのがアニマルスピリッツです。「血気」「野心的意欲」「動物的な衝動」などと訳されます。

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たとえば、不況下において将来の収益のために(マネタイズするかどうかは未知数なのにも関わらず)新事業にチャレンジする、事業を拡大するなどはアニマルスピリッツの典型的なものでしょう。

“本当に頭のいい人”はバカになれる

ダニエル・C・デネット(1942〜)の『自由の余地』という本の中で、非常に印象的な部分があります。それは、「本当の頭のよさ」のポイントの1つとして、逆説的に「バカじゃないと駄目だ」と書いてあるのです。これが実に的を射ているなと感じるのは、アニマルスピリッツを持った成功者たちは、ほぼ例外なく「バカになれる」資質を兼ね備えているからです。

「成功」の定義は人それぞれでしょうが、少なくとも世の中を席巻してきたような成功者たちは、自分の野望を誰に話すわけでもなく、普段は野心をあまり表に出さなくても、ここぞというタイミングが来るときわめて大胆な行動をとったり、周りを驚かせたりします。

“他人から見て愚かなもの”に価値は眠っている

イーロン・マスクの判断基準「クレバー/フーリッシュ・マトリクス」

たとえば、イーロン・マスク(1971〜)。彼を知らないビジネスパーソンはいないでしょう。宇宙ロケットを製造開発する「スペースⅩ」や電気自動車を開発する「テスラ」を創業した、言わずと知れた世界トップクラスの実業家です。

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