
26日に東京地裁で始まった「歯」をめぐる集団訴訟。150人に及ぶ原告の多くが若い女性で、歯科矯正の治療費をめぐり約2億円の損害賠償を求めたのだ。
【映像】原告の女性らが会見
「借金も健康被害も残り、この先どうしていいかわからない状態」(原告の女性)
訴えられたのは全国展開する歯科クリニック「デンタルオフィスX」の運営会社代表など。クリニック側は「歯科矯正のモニターになりSNSなどで宣伝すれば150万円以上の報酬が支払われ、高額な治療費が実質無料になる」と参加者を募った。

歯並びに悩んでいた原告の1人は、2021年に契約を結んだ。治療費を払いつつ通院を続けたが、宣伝でうたったような治療はなく、分割で支払われていた報酬も止まったという。
「ロシア・ウクライナ問題が起こって、海外からのお金の移動ができなくなったので、今月は支払いができないと言われた」(原告の女性)
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さらに、歯を抜かれたまま放置されたり、歯並びが全く治らなかったり、健康被害を訴える患者もいる。女性は同じ被害を訴える患者たちとクリニック側に直談判したが、「弁護士対応になった」などの回答に終始したという。23日、取材のためにクリニックに向かうと、すでに閉院し解体作業に入っていた。
原告側代理人によると、訴訟を起こした女性は被害者の一部でしかなく、被害額は総額10億円を超えるとしている。一方、クリニック側は「当社として責任のある契約については支払う方向で今後も対応していきたいと思っている」とコメントしている。

歯科矯正の実態と適切な治療について、『ABEMA Prime』では専門家に話を聞いた。
一般社団法人「お口プラス」理事長の稲葉将太氏は「一般の治療と違って、矯正医の先生は特殊な講義を受けたり、かなり高い機材を導入したりしている。150万円の矯正費が無料になるのはうま過ぎる話だな、何か裏があるなと感じた」と指摘する。

そもそも150万円という金額は高いのか。
「昔は針金のワイヤー矯正しかなかったが、最近はマウスピース矯正ができたり、いろいろなメーカーが入ってきているので、かなり安くなっている。40万円くらいから始められるのでさまざまな年代の方が取り入れやすい時代。ただ、患者さんとしてどれがいいのか、安いものと高いものでどちらが良いのかなど、判断が難しくなってきている」