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【米国サッカー留学の現実/前編】日本で無名だった高校生がなぜ活躍できるのか? 日本を飛び出して挑戦する理由

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【米国サッカー留学の現実/前編】日本で無名だった高校生がなぜ活躍できるのか? 日本を飛び出して挑戦する理由

「挑戦できるのであれば海外でプレーしたいと考える子が多いですが、語学面の準備が疎かになっていることがよくあります。サッカーを一生懸命にやっている子だからこそ、勉強に苦手意識があることもあります。最終的には、大学側が求める語学レベルのスコアがないと入学ができないため、語学面でのサポートを行っています」

●日本で評価されない選手が留学先で輝く

――活動を通してどのようなことを目指していますか。

「もちろんサッカー留学でアメリカ一本に絞る必要はありません。選手たちにとって、日本とアメリカの垣根を取っていきたいですね。アメリカの大学を国内の大学と同じテーブルに並べ、選択肢の一つとして考えてほしいと思っています。サッカー留学を当たり前の選択肢として、定着することを目指しています」

――選手にとって様々な進路の選択肢があると思います。そんな中でも、アメリカの大学にサッカー留学をする強みはどういったことでしょうか。

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「現役を終えたあと、英語力が武器になります。そして、就職を考えると海外の大学卒業が手に入ることはとても良いことです」

「プレー面でいうと、日本で評価されにくい選手も評価される環境があるということです。日本では、あとから成長するタイプの選手や、個性的な武器を持つ選手が評価されにくい傾向があります。一人が良いと評価したものに対し、みんなでそれに向かい、目指す場所が一本化されてしまいます。型にはまる選手は上に行ける一方、異なる武器を持つ選手や、違うサッカーをしたほうが活きる選手がはじかれてしまう環境にあります」

――アメリカは日本とどう違うのでしょうか?

「本来、サッカーにはもっといろいろな味があり、チームや個人によって良さがあるはずです。その反面、日本のサッカーはバリエーションが乏しい気がしています。そういう意味で海外、特にアメリカに行くといろいろな監督がいます。国籍もアメリカ人だけでなく、ヨーロッパや南米など、いろいろな監督と出会うことができます。そして様々なサッカーに触れられるのはとてもいい機会です」

●米国留学の不安とは?

――米国サッカー留学をどのような選手にお勧めしたいですか?

「あとから成長するタイプの選手にも良い環境だと思います。実際、今アメリカ留学をしている選手でプロに声がかかりそうな選手も高校時代は無名でした。いわゆる日本の小さなフィールドでの細かいパス回しに向いている、判断力の高い選手ではありません。しかし、身体能力にあふれている彼のような選手が、日本の名門校出身の選手よりも評価されるという現象がたくさん起きています。また、アメリカのカレッジスポーツは、世界中から選手が集まっています。資金もかけており、設備が整っているため唯一無二の存在だといえます」

――親御さんから不安の声があがることはありますか。

「治安の部分や何かあった時にすぐ駆けつけられない点をはじめ、特に女子選手の親御さんから不安の声が寄せられます。しかし、WithYouのスタッフの中には現地で子どもを育てているスタッフがいます。現地の対応について経験をもとに直接アドバイスを行い、丁寧に説明をすることで様々な不安を解消しています」

「栄養面については、現日本代表選手の栄養士と契約しています。オプションで希望者には栄養指導やアドバイスを受けられる設備を整えています。選手は、寮がある大学に入ることが多いですね。寮がない大学の場合は、選手同士でルームシェアをし、自炊をしている選手もいます。中には、SNSでレシピをみんなに聞き、それを元に作っている子もいます。現代的ですよね」

●育成年代の違い

――調べたら出てくるのにレシピを募集することで自炊を楽しんでいるのかもしれませんね。日本では目指す方向が一本化されているというお話がありました。どういった経験からそのように感じましたか。

「これまで、海外で現場に足を運び、いろいろな育成年代の指導を見てきました。選手を追っていると、海外では育成年代からオフをちゃんと確保していることに気がつきました。1年のうち、1、2カ月のオフで身長を伸ばし、体の慢性的な疲労の蓄積によるケガを防ぎます。大人が休む時間をしっかりと確保することで、体のケアも精神面も整えることができます」

――ご自身のサッカーキャリアが活かされている部分はありますか?

「自分はケガで引退しました。そのため、体の疲労を少なくし、いかに効率よくケガなくやっていくかということを考えています。ケガを防ぐためには、疲労を蓄積させず、質の高い練習をさせてあげることが大事です。体と心のバランスをコントロールし、サッカーをやりたいという気持ちをうまく上達につなげていきます。そういった面で、海外はモチベーションコントロールに優れています」

「日本では大学生になった段階ですでに疲れ、気持ち的なピークが過ぎてしまっている選手が多い。その反面、海外の選手たちはプロになっても楽しさを残したまま突き進んでいます」

プロフィール:中村亮(なかむら・りょう)
1981年8月13日生まれ、兵庫県出身。滝川第二高校、鹿屋体育大学を経て2004年にFC東京に加入。ケガのため翌年に現役引退。その後、中学校教諭やモデルを経て渡米。自身のアメリカ留学をきっかけに2016年株式会社WithYouを設立し、代表取締役を務める。サッカー留学の斡旋・企画及び現地サポート海外に関する留学情報提供サービスを行っている。

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