前編では、圧倒的な活躍でJ2のMVPや得点王に輝いた2022年シーズン、ストライカーとしての課題や強みについて語ってもらった。後編となる本稿では、ワールドカップへの想いや、来るべき新シーズンに向けた意気込みなどを訊いた。
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カタール・ワールドカップは、日本の試合も、他の国の試合も見ていました。
日本代表は、すごく楽しそうにやっているなと感じました。「夢の中にいるような」みたいに言っていた選手がいたと思うんですけど、まさに夢の舞台を楽しんでいる雰囲気が伝わってきて、なおかつワールドカップという大舞台でいつも通りのサッカーができている。
それは常に自信を持ってプレーし続けてきたことの証拠だろうし、正直、見ていて感じることは多かったですね。
僕自身の心境ですか? 世代別代表とかで一緒にやってきた選手が躍動している姿を見て、嬉しい気持ちはありました。悔しい気持ちは……うーん、悔しさというより、だったら俺もやれるだろうって。そういう感覚ですね。
だったら、という言い方はあれですけど、誰にでもチャンスはある、という考えです。しっかり結果を出して、ステップアップすればいい。まあ、それが難しいんですけど。
今回のワールドカップは、自分にはほぼ可能性はなかったけど、次のワールドカップでは俺が点を決めると、その想いでこれからの4年間を過ごしたい。日本代表のみんなのおかげで、強い気持ちにさせてもらったし、奮い立たせてもらいました。
改めて、サッカーに対する意識も変えていかなければいけないと思っています。日本代表はずっと努力してきて、目標にしてきた舞台で、クロアチアにPK戦で負けてしまった。試合後のみんなの表情だったり、日本全体を巻き込んだあのムードを目の当たりにして、自分の中に特別な感情が生まれました。クロアチア戦のあとに、すぐ思ったんです。次は俺だ、俺が点を決めるって。
【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列
横浜FCは昨季、J2で自動昇格圏内の2位でフィニッシュ。1年でのJ1復帰を決めた。コロナ禍で特別ルールが適用された2020年シーズンを除き、クラブは過去、“J1残留”を果たしたことがない。当然、今季の最大のミッションは残留ということになるのだろう。だが、そうした周囲の見方に小川は異を唱える。チームの絶対的エースには、確固たる自信がある。
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今年はJ1を戦うシーズン。J1が初めての選手もいれば、J1の舞台に戻ってきた選手もいる。人それぞれだと思いますけど、自分としては、以前にJ1でプレーした時と比べて、自信だったり、“やれる”という想いは人一倍強い。
J1でどれだけできるか。どれだけ得点数を伸ばせるか。本当に楽しみです。
おそらく、いろんな選手や監督、メディアの方も含めて、横浜FCが残留できるかどうかにフォーカスしているように感じます。
クラブとしてもJ1の厳しさは理解しているでしょうし、そんな簡単なことじゃないと思われるかもしれないけど、僕としては、全然やれる、やらなければいけないと思っています。
連勝を重ねていって、上位進出を狙う。それができる選手が間違いなく揃っている。目標を残留ではなくて、もっと高いところに持っていってもいい。周りがどう見ているか。それを覆したいし、クラブとしての歴史を塗り替えたい。
自分は去年、26点を取ったこともあって、「J1でどうなの?」「プレッシャーがあるんじゃない?」と聞かれたりもします。でも実際、それはあんまりないんですよね。
仮に活躍できなければ、通用しなかった、みたいに言われるかもしれませんけど、シーズンを前にした今、プレッシャーになるかとか、そういう思考にはどうしてもならないんです。
何よりも去年からの自信がある。精神的なバランスはすごく良い状態で、開幕に向けて、今は準備ができています。
※このシリーズ了
取材・構成●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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