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『星降る夜に』『最愛』吉高由里子×ラブストーリーは鉄板 ヒロインの強さと弱さを体現

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『星降る夜に』 ©テレビ朝日

 吸い込まれそうな満開の星空の下、無防備にそれを見上げる雪宮鈴(吉高由里子)の表情に、シャッターを切る柊一星(北村匠海)同様、我々も引き込まれ、彼女をもっと知りたいと瞬間的に思う。

 参考:【写真】手をつないで歩く吉高由里子&北村匠海

 コロコロと変わるその表情は一瞬たりとも同じ時がなく、飽きることがない。音が鳴るように笑うその笑顔も、臆することなく不機嫌さを顔に出す不貞腐れたような表情も。ひとときも見逃してしまうことなくレンズに収めたいと衝動的に思ったのだろう一星の気持ちがよくわかる。だって、彼女がいて初めてその景色は完成するのだから。

 キスシーンから始まった『星降る夜に』(テレビ朝日系)の第1話冒頭は、そこから一転、白衣に身を包みお産に立ち会う産婦人科医としての鈴の姿が描かれる。一瞬にしてその情景を立ち昇らせ、その後ずっとこちらの心に棲み着くのが吉高由里子だ。

 『最愛』(TBS系)では、岐阜県白川郷の目が冴えるような美しい緑にすっかり溶け込み、青春を謳歌する主人公・梨央(吉高由里子)の高校時代の日々をまるで瞬間冷却したかのようにそのままの鮮度で見せてくれた。そんな無垢な笑顔から一転、視聴者の脳裏にこびりついて離れないあの薄気味悪さや違和感をも凌駕してしまう、息を呑むほど美しく妖艶な一幕。15年後、警察車両に乗り込む前に、髪を耳にかけるその手についた血の赤が彼女の真っ白なこめかみをそっとなぞり跡をつける。白と赤のコントラストが見事だった。思えば、吉高はコントラストを自然に内包させ美しく魅せてくれる俳優だ。

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 可憐で透き通っていて、これほどになくチャーミングで、だけれどもその裏には大切な者を失った喪失感や向き合い切れない現実を抱えていたりする。吉高演じるヒロインの旺盛な好奇心やブレない芯の強さが、どんなに過酷な状況にあってもその事態から目を背けさせず物語をぐんぐん押し進め、その心の機微や揺らぎが観る者の心と共振していく。しかし、自立していてデキる主人公ながら、その“強さ”は他を寄せ付けない排他的なものではなく、かと言ってわかりやすい優しさでもない。なんとも人間臭く、オンとオフのギャップがまた魅力的だ。だからこそ、1人の人間から思いがけない一面が引き出され、否応なしに変化をもたらすラブストーリーと吉高の相性は抜群だ。

 『最愛』では、ある事件の重要参考人になった梨央が、その担当刑事として初恋の相手である大輝(松下洸平)と出会ってしまう。何も心配することもなく無邪気に笑い合えた白川郷での日々から、互いにそれぞれ守らねばならないものや正義を抱えてしまった中での願ってもみない再会はあまりに切なく、互いの身を切り裂くようだ。吉高の凛とした強さがあるからこそ、無残にもそれが引き裂かれてしまう誰も悪くはない運命のいたずらの残酷さが際立つのだ。そして、15年間離れ離れで全く別世界で生きてきた梨央と大輝が、2人でいるとお互いに変わらない部分が知らぬ間に引き出されるさまに胸を掴まれた。

 『星降る夜に』で演じている鈴も“正しさ”や“幸不幸”を簡単に決めつけ断言するようなところがない。第2話では生まれてすぐ母親に抱いてもらうことも、名前を付けてもらうこともなく産院に置き去りにされてしまう赤ちゃんに簡単に“かわいそう”という烙印を押さなかったように。「俺もかわいそうじゃない? 普通と違うから」と問いかける一星に、ろう者であることや両親を亡くしているという彼の表層的な情報なんかでは取り合わずに、彼自身の仕事におけるお節介ぶりや変わった趣向性を取り上げ「羨ましいくらい魅力的な人生」と何のてらいも迷いもなく返していたように。

 それは、映画『きみの瞳が問いかけている』での目が見えない明香里(吉高由里子)が、罪を犯しキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)を眼差す際にも終始反映されていた。屈託がなく眩いくらいに真っ直ぐで、だけれども、その“真っ直ぐさ”で誰かを断罪したり傷つけてしまうことがない。最初は尖っていてもいろんな波に揉まれて丸くなり人を傷つけることがないシーグラスのように。割り切れなさややるせなさを抱えながらも、それでも人を信じようとするヒロインの強さと弱さの両面をしっかりと見せてくれる吉高が紡ぐラブストーリーが魅力的でないはずがないのだ。(佳香(かこ))

 
   

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