
左から真鍋、東松、前田、佐々木、平野、佐倉

第104回全国高校野球選手権大会は22日、決勝戦を迎え、仙台育英(宮城)が優勝し、22年度の3年生たちの公式戦は国体を除いて一旦終了した。
23日からは、甲子園決勝まで勝ち進んだチームも、新チームとしてスタートする。今年の高校2年生世代では現時点でも楽しみな選手が多く、近年でも稀に見るドラフト豊作年になる可能性がある。
2年生世代の特徴は、投打で目玉になる選手がいて、それを追う対抗馬の選手がいることだ。こういう年は例外なく豊作の年になることが多い。19年でいえば、星稜(石川)・奥川 恭伸投手(現ヤクルト)が、結果と実力ともにNo.1を示し、大船渡(岩手)・佐々木 朗希投手(現ロッテ)は、No.1の才能を示し、それを磨き続けた。
21年は市立和歌山(和歌山)・小園 健太投手(現DeNA)、明桜(秋田)・風間 球打投手(現ソフトバンク)、高知(高知)・森木 大智投手(現阪神)の3人が世代No.1投手を争う構図となった。切磋琢磨しあい、同世代の中でも群を抜いた投手となり、それに続く大型投手が現れた。
23年も投打ともにその構図が期待される。
切磋琢磨しあう3人の左腕投手たち
東松 快征、前田 悠伍、仁田 陽翔
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投手では、前田 悠伍投手(大阪桐蔭)がリードする。今夏の甲子園で下関国際(山口)戦を迎えるまで防御率0.00を記録していた「スーパーピッチャー」だ。140キロ〜145キロの伸びのある直球には威力があり、スライダー、カットボール、ツーシーム、カーブとのコンビネーションを駆使した投球は、なかなか打ち崩せない。下関国際戦は高めに浮いた球を痛打され、春の近畿大会決勝・智辯和歌山戦以来の敗戦投手となった。果たして、この負けがさらに難攻不落の存在となるか注目だ。
その前田を強烈に意識するのが、東松 快征投手(享栄)だ。最速は149キロ。前田はキレ型の直球を投げるが、東松は威力型。スライダーの切れ味も抜群で、スピード、威力そのものは前田を上回る。東松は「ゲームメイクなど投手としての技術は前田投手が上で、リスペクトしているが、それでも負けたくないですし、ドラフト1位になるために取り組んでいます」と語る。負けず嫌いの性格で、コーチとのダッシュの競争でも張り合いを見せるほどだという。多くの選手をプロへ輩出した大藤監督も「この負けん気の強さを持った選手は現代ではなかなかいないです」とマインドの強さに太鼓判を押す。今年の愛知も厳しい戦いが予想される。それを勝ち抜くことができるか。
潜在能力では、この2人に負けない素質を持ったのが、仁田 陽翔投手(仙台育英)だ。肩、肘が柔らかく、最速147キロの直球は切れ味抜群。130キロ前半のスライダーも切れ味がある。1球1球の質はこの2人に負けないものがあり、ベストボールはこの2人より凄いと思うものがある。仁田もまた前田に刺激を受けたようで、6月の大阪桐蔭との練習試合で前田を間近でみて、自分の足りないものを実感した。新チームでは、主力投手としての立ち位置になると思うが、そこで別格のパフォーマンスを示し、ドラフト上位候補として評価されるまでになるか注目だ。
ドラフト上位候補になりそうな右腕たち
松石 信八、平野 大地、宮國 凌空
直接的なライバル関係はないが、右腕投手の成長も著しい。平野 大地投手(専大松戸)は最速150キロを計測する。専大松戸は今まで多くの好投手を輩出してきたが、スケールの大きさという点では歴代No.1といっていいぐらいのポテンシャルがある。ただ並外れた速球を投げるからこそ、消耗度も大きい。平野がドラフトの目玉になるためには、専大松戸の投手、野手全体の底上げが重要となる。宮國 凌空投手(東邦)も沖縄出身の速球派右腕で、140キロ後半の速球は伸びがある。さらに、松石 信八投手(藤蔭)も140キロ後半の速球は伸びがありモノが違う。エースとして活躍できるか注目だ。


真鍋 慧、明瀬 諒介、佐々木 麟太郎、佐倉 侠史朗