北京ダックと成都ダック、その違いとは?
中国料理でローストダックといえば、誰しも頭に浮かぶのは北京烤鴨(北京ダック|北京烤鸭|ベイジンカオヤー|běijīngkǎoyā)でしょう。ダックの皮・白ネギ・キュウリを小麦粉で作った薄い生地(烤鴨餅)にのせ、味噌を塗り、くるりと包んでガブリ。パリパリッとしたダックの皮の繊細な食感が心地よい料理ですね。


一方、冒烤鴨(成都ダック|冒烤鸭|マオカオヤー|màokǎoyā)は四川省成都市の名物。
焼き上がったダック(烤鴨|カオヤー|kǎoyā)を骨ごと大きめの塊にぶつ切りにしたら、麻辣味の熱々のスープで野菜たっぷりの具を煮た冒菜(マオツァイ|màocài)の上にどんっ! 〈烤鴨+冒菜〉というコンビネーションで、実に大胆かつ豪快な味わいです。
スープに使われる香辛料、そして烤鴨の香ばしさがいきいきと香り立ち、鮮やかなスープの赤色も手伝って、冒烤鴨は目の前に現れるやいなや、一気に食欲がわく料理です。テーブルに運ばれたら、先ずは大きな塊の烤鴨をガブリ。熱々で麻辣味のスープをまとったダックを頬張れば、美味くないわけがない!


ところで「皮のパリパリ感、なくなっちゃうのでは…?」とのご心配は無用。確かに軟らかくはなりますが、ローストした香ばしさを残しつつ、スープのスパイス香と相まって、それ単独にはない奥行きのある風味が生まれます。冒菜のたっぷりの具材とともに、飽きずに楽しめるのも魅力ですね。
広告の後にも続きます
そんな冒烤鴨を、東京で食べられる店が増えています。偶然ですが、どちらの店も2022年の冬に提供を開始。早速駆けつけました!
新小岩『楽串』で濃厚火鍋風味の冒烤鴨(マオカオヤー)をキメる

2021年7月、麻辣風味の串料理である鉢鉢鶏(ボウボウジー|钵钵鸡|bōbōjī)と冷串の専門店として開業した『楽串』が、2022年11月から冒烤鴨の提供を始めました。
現在のメニューは、冒烤鴨と自身で具を選べる冒菜の二本柱で、スープは重厚感のある麻辣火鍋タイプ。食べるときは白飯も注文し、厚切りのダックに濃厚な風味をしっかりと絡ませて、肉塊をごはんの上へワンバウンド! グワッと掻き込むのもまた一興。


さらに冒菜の具材がたっぷり入っているのも嬉しいもの。数えてみると、秘制麻辣牛肉(秘伝の麻辣牛肉)、嫩鴨血(プルプルと柔らかに鴨の血を固めたもの)、鹵鵪鶉蛋(うずら卵のスパイス煮)、豆腐皮(干豆腐)、黒木耳(黒キクラゲ)、蓮藕片(レンコンの薄切り)、西蘭花(ブロッコリー)、小竹笋(姫筍)、豆芽(もやし)と9種類も! 肉も野菜もたっぷりとれて、食べごたえ十分ですね。
薬膳スープは昆布が決め手!高田馬場『花椒 SUGER & SPICE』の冒烤鴨

2022年初めにオープンした当初から、冒菜や麻辣湯やを提供していた『花椒 SUGER & SPICE』。冒烤鴨がメニューに載ったのは12月上旬頃で、これが開始早々に大好評! 30羽近く用意しても、夕方前に完売する勢いだったそうで、瞬く間に人気メニューとなりました。
私も初めて訪れたときは売り切れ、のちに電話で問い合わせたらやはり売り切れ、さらに臨時休業なども挟み、数回目のランチタイムでようやくありつけたという経験があります。