
人は外面だけなら意外と簡単に取りつくろうことができる。その人が被っている“仮面”が善意からくるものなのか、悪意からくるものなのかーー。本心がどこにあるのかを見抜ける能力があったとしたら、世の中の見え方が一変してしまうかもしれない。そんな想像を広げてくれるのが、昨年12月、Twitterで公開された創作漫画『人の頼みを断れない子が不思議な少女と出会う話』だ。
(参考:漫画『人の頼みを断れない子が不思議な少女と出会う話』を読む)
人からものを頼まれると断れずに引き受けてしまう、優しくもあり引っ込み思案な女子学生・鳥山ミズキ。大好物のケーキを買ってウキウキ気分で帰ろうとしている時、空腹で倒れている少女・小泉ムジナを見かける。ミズキは嫌々ながらも本心を隠してケーキをあげようとするが、ムジナは“外面(ソトヅラ)”と本心を見抜ける妖怪で……。
作者のnemutakuさん(@nemutaku327)は、人気ギャグ漫画『ボボボーボ・ボーボボ』で知られる澤井啓夫の短編集に掲載されていた漫画家になるまでのヒストリーに触発され、漫画を制作するようになったという。人間が持つ裏表の表情を独特の切り口で表現した本作について、創作の経緯など話を聞いた。(望月悠木)
■テーマから逆算した“都合の良いストーリー”
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――本作のテーマはどのように決めたのですか?
nemutaku:家庭やクラス、部活、職場など、場面や関係性によって人間は様々な人格を演じることってありますよね。そのことに疲れたり疑問を感じたりしたことがあって、「漫画の題材にしたい」と思って制作しました。
――キャラクターはどのように作り上げましたか?
nemutaku:ストーリー展開を先に考えて、あとからそれに合ったキャラクターを作る、という順序でした。ミズキは内向的すぎも社交的すぎもしない、普通の子をイメージしました。ムジナはあくまでも妖怪なので、人間的に見えつつも根本的なところで価値観が違っている不気味さを意識しました。
――人間の「外面(ソトヅラ)」を集める妖怪という設定が面白かったです。
nemutaku:外面をテーマに作品を描こうとした時、「人間と違った価値観を持った存在をぶつけることでドラマが作れる」と考えました。。また、テーマから逆算してストーリーに都合の良い設定を考えた時、今回の設定が生まれました。