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『ブラッシュアップライフ』スリル溢れるドラマ制作の裏側 “喜劇”のような麻美の人生

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『ブラッシュアップライフ』©︎日本テレビ

 “運命”とは、生まれながらに決まっているものだと思っていた。たとえ、どんなに抗ったとしても、結果的にその道にたどり着いてしまう。人生をやり直したにもかかわらず、またもや33歳で死んでしまった麻美(安藤サクラ)のように。

参考:『ブラッシュアップライフ』細部にこだわった演出の妙 続きが気になる仕掛けを紐解く

 しかし、たったひとつの選択により、運命が動き出すこともあるのかもしれない。あの日、もう少しだけ受験勉強を頑張っていたら。学生時代に交際していた恋人と、関係を持続させていたら。今の自分とはまったくちがう自分が、ここにはいるのだろうか。

 人生をやり直しながら、進学先や就職先、そして恋人までを変えてしまう麻美を見ていると、なんだか不思議な気持ちになってくる。“思い出が過去ですらなくなる”って、どんな気分なのだろう。

 ダメンズだった彼氏・田邊(松坂桃李)が、年収10億円の実業家になっていたり。常に仕事の愚痴をこぼしていた同期が、ルンルンと恋バナをするようになっていたり。自分と出会わなかった世界線で、他人が幸せになっている姿を見るのって、なんだかしんどい。

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 だが、麻美はどんな運命が訪れても、心のなかでツッコミを入れながら、軽快に笑い飛ばしていく。まさに、彼女の人生は“喜劇”だ。演じている安藤サクラの、少し力の抜けた雰囲気が、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で、バカリズムが描きたい(のであろう)世界観に絶妙にマッチしているのもいい。そして、このドラマを観ると、“明日から、来世のために徳を積むか”なんて思って、前向きに生きていける気がするのだ。

 3周目の人生に挑み始めた第4話では、麻美はテレビ局で働くことになる。その理由が、“たくさんの人を楽しませて大量の徳を積むため”というのも麻美らしいし、『24時間テレビ』(日本テレビ系)のことを、“番組の方向性的には徳を積めそう”なんて言ってしまうのも、バカリズムのエッセンスを感じて思わず笑った。

 1周目&2周目の人生を合わせると、20年以上の社会経験がある麻美は、当然仕事ができる。担当することになったドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)がヒットすることはすでに知っているため、“勝ち馬中の勝ち馬に乗っている状態”だし、肉体的にはいちばんハードでもやりがいを感じている。

 だが、気がかりなのがミタコング(鈴木浩介)が痴漢の冤罪をかけられてしまうこと。2周目の人生では、たまたま同じ電車に乗っていたため、冤罪だと証明してあげられたが、3周目の麻美は東京にいる。しかも、『花咲舞が黙ってない』の収録は夜まで続くため、地元に戻って助けてあげることは物理的に不可能だ。

 ここからの巻き返しが、第4話いちばんの見どころといっても過言ではないだろう。撮影時間を巻くために、現場の士気を上げたり、チーフ助監督に飯押し(=食事休憩を省いて、そのまま一気に撮ってしまうこと)を提案したり……。ドキドキハラハラする演出で、ドラマ制作の裏側を描いていく。最終的に、塚地武雅が奇跡の早入りを果たした時には、「これで、ミタコングが助かる……!」と思い、感動した視聴者も多いのではないだろうか。

 しかし、正直なところ、ミタコングは典型的な嫌味な教師だった。中学卒業から時間が経っているにしろ、人間性というものはそう簡単には変わらない。麻美が頑張って助けてあげたところで、自分が冤罪をかけられるなんて想像もしていない彼は、また嫌味を言ってくるかもしれない。それでも、麻美は必死にミタコングを救ってあげた。これは、決して見返りのない本気の人助けだ。かなりの徳を積んだといっても過言ではないだろう。

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