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傑作ドラマや韓国映画でよく見る“あの人”。韓国の名パイプレイヤーを、映画ライターがピックアップ

MOVIE WALKER PRESS

傑作ドラマや韓国映画でよく見る“あの人”。韓国の名パイプレイヤーを、映画ライターがピックアップ

韓国ドラマや映画を鑑賞中に「この脇役の人、なんか見たことある気が…」と思った経験はないだろうか。人々を夢中にさせる秀作には、作品に深みを持たせる名脇役=いわゆる“バイプレイヤー”が登場するが、韓国では特に、強烈な存在感を放つ“名バイプレイヤー俳優”が数多く存在する。そこで、MOVIE WALKER PRESSは韓国コンテンツに造詣が深いライターへアンケートを実施。それぞれが「韓国作品を語るに外せない!」と考える、抑えておくべき韓国の名バイプレイヤーたちを一挙紹介する。「この人、あの作品にも出ていたんだ」という発見につながるかも?

■パク・チャヌク監督最新作も控えるソ・ヒョヌ&確かな演技力で存在感を残すヨム・ヘラン

初めてソ・ヒョヌを発見したのは、2018年に釜山国際映画祭で観た『A Boy and Sungreen(英題)』。生き別れた父親を捜すボヒとその幼なじみノギョンが繰り広げるジュブナイルストーリーである本作で、彼はボヒの腹違いの姉の恋人役だった。スクリーンに登場した時、衝撃的なほどいかつくだらしがなかったのだが、ぶっきらぼうながら思いがけないアドバイスをくれるなど、みずみずしい10代の冒険をそっと後押しする演技に魅了された。

大器晩成と呼ばれる彼は、「悪の華」でデビュー10年で念願の主演を務めると、『別れる決心』(2月17日公開)で見事パク・チャヌク組への仲間入りも果たした。作品のジャンルを問わず着実に活躍の場を広げつつあるが、引き受けた役について徹底的にバックグラウンドを考え、時には曾祖父まで作り込むという役者根性には浮ついたところがない。ソル・ギョングと共演する『幽霊(原題)』が楽しみだ。

『82年生まれ、キム・ジヨン』(19)で、つきまといに遭う主人公を機転で救う“スカーフを持った女性”ヨム・ヘランの姿を、多くの人が覚えているだろう。カメオ出演で、これほど感動させる演技をする俳優もそういないのではないか。ヨム・ヘランは自分自身のオーラを消しながら与えられたキャラクターを生きることで、作品にぴたりとはまるピースとなる稀有な俳優だ。

出演作を挙げたらきりが無いが、『無垢なる証人』(19)では疑惑の家政婦として、「未成年裁判」(Netflixで独占配信中)では非行少女を更生へ導く施設長として、時に観客を泣かせ、時に背筋を寒くさせる千変万化の表情を見せる。若手劇団員時代から、周りがやらないお母さんやおばさん役を引き受け続けてきたというエピソードにもグッと来る。「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」(Netflixで独占配信中)は主人公の影で暗躍する復讐者を演じるそうで、こちらも見逃せない。
(ライター・荒井南)

■この気だるげな顔に覚えがあるはず…チョ・ウジン

「名前は出て来ないけどこの人知っている!」「この人、あのドラマにも出ていたよね!」となる、主演よりも強烈な存在感を醸しだすバイプレイヤーといえば、真っ先に思い出すのがチョ・ウジン。テレビドラマデビューは2010年だが、実は1999年から劇団で活動してきたベテラン役者である。だが個人的に「この人、ちょっとおもしろいかも」と思い、初めてちゃんとチョ・ウジンの存在を認識したのは『インサイダーズ/内部者たち』(15)からだった。残業に疲れたサラリーマンみたいな気だるい顔をしたままイ・ビョンホンの腕を切り落とす姿を見て、「こんなやる気ない悪役いる!?」と思った覚えがある。そこからチョ・ウジンは、彼にしかできない演技で、ぱっと見ごく普通なキャラクターを特別に再創造する、卓越した能力の持ち主ということに気付いて、ファンになってしまった。

今年公開されたNetflixオリジナルドラマ「ナルコの神」でも、脇役かと思いきや、どんでん返しを食らわす大活躍を見せてくれたチョ・ウジンを今後もずっと応援し続けたい。
(エディター・鄭智喜)

■「サイコだけど大丈夫」で名シーンを量産したオ・ジョンセ

オ・ジョンセさん。どの作品にもいらっしゃるような気がするほど、出演作は多数。とはいえカメレオン俳優と評される通り、外見に特別な変化を施していなくとも「オ・ジョンセ…かな?」と、すぐには気づかないことも。渋めの役から少し抜けた役まで、どんな役も彼の手にかかれば愛されるキャラクターになり、彼が泣けば私も悲しく、彼が笑えば私もうれしい、そういう芝居をする方。

ここで名前を挙げるほど好きになった決め手は「サイコだけど大丈夫」。ストーリー、映像、キャスト含め好きな作品だが、オ・ジョンセさん演じるサンテが愛おしくてたまらなかった。レストランでガンテと食事をするシーン、ムニョンとのやりとり(うずらの卵のシーンが好き)、写真スタジオに行く前日のそわそわ…オ・ジョンセが生み出した名シーンが多々あり、何度も見返した。弾けるような純粋な喜び、葛藤、悲しみ、兄としての矜持…細やかな芝居に引き込まれた。
(ライター・新亜希子)

■“「ト・ボンスン」のおネエ上司”ことキム・ウォネ&“スーツ1着の人”ことファン・チャンソン

「バイプレーヤー」と聞いて、真っ先に浮かんだのがキム・ウォネさん。ドラマだけでもシリアスからコメディ、時代劇…とジャンル問わず約50本に出演しているので、韓ドラ好きな方なら、名前は知らなくても顔を見れば、必ず「あっ!」となるはず。役柄も「クリミナルマインド」でのサイコパス、「五月の青春」での寡黙で影のある父親、そして「力の強い女ト・ボンスン」でのオネエのいじわる上司まで!どんな役でも完璧に演じて、ドラマを支えてくれてます。多作な為、スカパーやBSで1日に何本もウォネさんの出演作を観ることになり、ちょっとした「キム・ウォネ祭り」が起きることも。

イチオシキャラは、やはり「ト・ボンスン」のオネエ上司!このドラマではヤクザと2役で出演していて、そのギャップも楽しめます。本当にオネエ演技が最高なので、絶対見てほしいです。

「キム秘書はいったい、なぜ?」の“スーツ1着の人”コ・グィナム役で一気に認知度を上げたファン・チャンソン(2PM)もバイプレーヤーとして推します。作品途中や序盤で死ぬことも多く、「短命(役)俳優」(笑)などと言われたりもしますが、「キム秘書~」に代表されるように、彼はコミカル演技が本当に上手く、やりすぎない絶妙なさじ加減で、笑いどころをしっかり押さえて視聴者を楽しませてくれます。

実は「キム秘書~」では、もっと出番が少なかったけど、自分で役柄を研究してアイデアをノートにまとめ、監督にプレゼンし、出演分量を自らもぎ取った、という努力の人でもあります。次回作は、ユ・インナ主演のラブコメ「恋愛に本気な方(仮題)」。得意なコメディジャンルでまた私たちを楽しませてくれそうです。「僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ」のお気楽ニート“ボンギ”役も彼の本領発揮で笑えるので、オススメです。
(ライター・鳥居美保)

■ユ・ジェミョンやキム・ソニョン…この人が出ていれば名作の香り!

主役を演じることもあるのでバイプレイヤーと言い切れないけれど、「この人が出ていると名作の香りがする」のは、この俳優たち。「秘密の森〜深い闇の向こうに〜」と「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」のギャップにまいったユ・ジェミョン(映画『声もなく』もよかった)、

「ミセン-未生- 」の理想の上司、映画『工作 黒金星と呼ばれた男』(18)でファン・ジョンミンを相手に究極の友情を演じたイ・ソンミン(現在放送中の「財閥家の末息子」は彼の代表作になるでしょう)、ずる賢いんだか情けないんだかわからない「刑務所のルールブック」のパク・ホサン、どこに出ていたのか探すのも大変なカメレオン俳優のユン・ビョンヒ(「ストーブリーグ」「悪の華」「ヴィンチェンツォ」など)。

女優だと、「椿の花咲く頃」でカッコいい弁護士を演じたヨム・ヘラン、「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」の男子2人を育てるお母さんらしさがよく出ていたラ・ミランは、「ブラックドッグ~新米教師コ・ハヌル~」の教師役もよかった。そして「愛の不時着」の人民班長ことキム・ソニョンは、映画『ソウルに帰る』(22)のお節介だけど憎めない役は、彼女にしかできない演技に脱帽でした。そしてとてもスタイルがいい!
(映画ジャーナリスト・平井伊都子)

■「D.P. -脱走兵追跡官-」のヴィランが記憶に新しいシン・スンホ

シン・スンホと出会ったのは2020年、映画『ダブルパティ』(21)がきっかけだった。当時人気女性アイドルグループRed Velvetのアイリーンの相手役として話題になっていたが、残念ながら俳優として大きな頭角を現すことはなく…。

シン・スンホという名前を忘れかけていた頃、Netflix「D.P. -脱走兵追跡官-」を通じて彼の真価に気が付いた。悪辣で権威主義的な晩年兵長(除隊間近の兵長)を演じる彼の姿を見て、“誰かの相手役”でなく、“シン・スンホ”として名を広げるに間違いないと確信したのである。実際シン・スンホはこの作品で「こいつ本当にむかつく」「最低だけど気になる」など、悪役としては最高の賛辞(?)を受けながら大ブレイクした。しかも「還魂」では高慢ながらどこか少し抜けているところもあり、思わず「可愛い!」って言わせてしまう愛しい皇太子に変身。あえて前作と真逆なキャラクターを選ぶ果敢なチャレンジ精神がまた推せるポイント。間違いなく韓国を代表する俳優になると信じている。
(ライター・柳志潤)

構成/編集部
 
   

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