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『探偵ロマンス』上白石萌音が“歌唱”で登場! 石橋静河の1人2役など伏線が張り巡らせる

Real Sound

『探偵ロマンス』写真提供=NHK

 『探偵ロマンス』(NHK総合)第2回は、平井太郎(濱田岳)が劇中で何度も口にする「分からない。だから知りたい」を視聴者にも抱かせるような、クライマックスに向けての伏線がふんだんに散りばめられた回だ。

参考:『カムカム』は時間の物語、『探偵ロマンス』は場所の物語 制作統括&演出に聞く

 「カイトウ」「ピスケン」「シンハンニン」「ラクガキ」「オヒャク」「ミマコ」「アカイヘヤ」「イルべガン」――バラバラの言葉たちが、まるでパズルのピースのようにして、ゆっくりと繋がっていく。

 そのピースの一つであり、第2回で初登場となったのが、中性的な魅力を持つお百(世古口凌)。彼女は、A公園のオペラ館で人気を博している舞台『華炎城の舞姫』のヒロインを務める踊り子。「美しく妖しい、絶世の美女」と噂されるお百に、太郎は心酔していくこととなる。現実的でドライな記者の梅澤潤二(森本慎太郎)は「娘の歌声をかぶせて、派手な化粧を施して」とその演出をはっきりと口にするが、その歌声を担当しているのが、事前に出演のみが告知されていた上白石萌音である。製作チームが手がけたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』と今回の音楽を担当する大橋トリオが繋げた縁。「歌劇唄い手」としての短い時間の出演ながら、歌声のみで『探偵ロマンス』にはっきりと足跡を残していた。

 お百はオペラ館の客引きであるラッパ(浅香航大)に外務次官の後工田寿太郎(近藤芳正)のご機嫌を取るように頼まれる。新しい時代のために。その場所となるのは、会員制の秘密倶楽部「赤の部屋」。お百を「天女」と崇める後工田は夢のような時間を過ごす。その時、微かにお百の口が動いたのをサインにして、彼女は「赤の部屋」会員の住良木平吉(尾上菊之助)に接近。「キスして」と迫るものの、「ロマンスは本当に好きな人としかしては駄目なんですよ」と拒まれてしまう。鏡に写る自身の姿に「醜い怪物」とぶつけるお百の言葉とシベリアに伝わる怪物「イルべガン」が繋がる。

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 お百と相反する存在として登場しているのが、バラバラの言葉たちの一つにも数えられる「赤の部屋」の女主人・蓬蘭美摩子(松本若菜)だ。近年は『金魚妻』(Netflix)や『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)、現在放送中の『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)など、数々の人気作品に引っ張りだこの松本若菜。妖艶に、時に敏腕な大人の女性のポジションを確立しつつある彼女は、今作では艶やかでミステリアスな人物を演じている。

 「赤の部屋」で特権階級の人々を相手にしながら、美摩子は一方で白井三郎(草刈正雄)からは「久代」と呼ばれている。フラッシュバックされるのは、10年前に起きた事件。三郎が必死に名前を呼ぶ相馬京子(石橋静河)が持っていたのは、怪盗からの予告状。そこには「あなたの大切なもの頂きます。「妹・相馬久代殿」」と記されていた。美摩子の背中にある7つの顔を持つ魔物「イルべガン」のイレズミ、太郎が思いを寄せる文通相手の村山隆子(石橋静河)と京子が瓜二つ(1人2役)なことも気になるところだ。

 また筆者が印象的に残ったのが、お勢(宮田圭子)が三郎に、住良木が美摩子に言った「優しい人は悲しい人」というセリフ。太郎、三郎、お百、美摩子。彼らに共通している、あるいは『探偵ロマンス』に通底しているのは人間臭いアイロニーだ。(渡辺彰浩)

 
   

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