2023年を迎え、野球界では高校生や大学生の進路が次々と明らかになってきている。昨秋のドラフト会議でプロ志望届を提出したものの指名がなかった選手たちも、気持ちを切り替え次のステージでの戦いに向けた準備を進めている時期だ。今回は「指名漏れ」を経験した注目の高校生野手5人の進路を紹介する。
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海老根優大(大阪桐蔭)
恵まれた体格を持つ右の強打者で、俊足・強肩も兼ね備える外野手。2年秋から強豪校・大阪桐蔭の中軸を担い、U18日本代表にも選ばれた逸材だが、昨秋ドラフトでの指名はなかった。高校卒業後は社会人野球のSUBARUに進む予定だ。
2年夏までは出場機会に恵まれなかったが、2年秋にレギュラーの座をつかんだ。全国デビューとなった明治神宮大会2回戦の敦賀気比戦で逆転3ランを放つなどし、スケールの大きさをアピールした。
3年次は甲子園で打ちまくった。春の選抜は5番に座り、打率.421(19打数8安打)、2本塁打、6打点の活躍で優勝に貢献。本塁打は市和歌山との準々決勝、近江との決勝で飛び出しており、勝負強さも発揮した。準々決勝敗退となった夏も初戦で本塁打を放つと、打率.467(15打数7安打)、1本塁打7打点の好成績を残した。
走攻守ともに、社会人野球でもすぐに通用しうる実力を持っている。3年後のプロ入りを目指し、さらなる成長を期す。
黒田義信(九州国際大付)
俊足巧打で、長打も秘める左の好打者。3年次は春夏ともに甲子園を経験し、U18日本代表として参加した国際大会では1番・浅野翔吾外野手(巨人ドラフト1位)と3番・松尾汐恩捕手(DeNAドラフト1位)の間を打つ2番打者として存在感を示した。しかしドラフトで名前は呼ばれず、春からは東日本国際大に進学する予定だ。
高校では1年秋から外野のレギュラーを奪取。2年春、夏は三塁を守っていたが、秋からは再び外野に回った。黒田の名が全国に轟いたのは3年春の選抜。1番打者として打率.538(13打数7安打)と驚異的な数字を残し、チームの11年ぶり8強入りに貢献した。中でも、広陵との2回戦は5打数4安打4打点をマークする活躍ぶりだった。
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東日本国際大は昨年の全日本大学野球選手権で4強入りするなど勢いのある大学だが、九州の高校からの進学者が多いとは言えず、黒田の活躍次第では今後さらに注目度が高まりそうだ。豊富な経験を生かし、ルーキーイヤーからスタメンの座を狙う。
村上慶太(九州学院)
大きな体から長打を飛ばす左のスラッガー。昨季三冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手の弟ということもあり注目を浴びたが、高卒でのプロ入りはならなかった。春からは日本大に進学する予定で、大学の4年間でレベルアップを期す。
高校は兄と同じく地元の強豪・九州学院でプレー。1年秋からベンチ入りを果たし、2年秋には4番打者としてスタメンに名を連ねた。3年次は春夏ともにチームを県大会優勝に導き、夏は甲子園に出場。打率.250(12打数3安打)で本塁打は出なかったが、3回戦の国学院栃木戦で先制打を放つなど、ここでも4番に座り打線の中軸を担った。
逆方向に飛ばす力もあり、打撃の期待値は高い。一方で伸び代も十分だ。兄の背中を追ってプロの世界に飛び込むため、大学で実績を積みたい。
山田空暉(愛工大名電)
名門校で一塁手兼投手として活躍した期待の逸材。打っては4番を任されるほどのパンチ力を持ち、投げては最速145キロのストレートを放る。卒業後は独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツで最短1年でのドラフト指名を目指す。
愛工大名電では3年春から「4番・一塁」に座り、夏は甲子園に出場。8強入りを果たした甲子園では打率.538(13打数7安打)をマークし、リリーフ投手としてもチームを支えた。八戸学院光星との2回戦では9回2死の緊迫した場面で超スローボールを披露。この球はストライク判定となり、プロで活躍する選手に必要なメンタルの強さも見せつけた。
独立リーグは高卒選手でも1年後からドラフト指名を受けることができる。投打ともにプロを目指せるポテンシャルを持つだけに、1年目から結果を残したい。
片野優羽(市船橋)
恵まれた体格を持つ強肩強打の捕手。力強いスイングから大きな当たりを飛ばすことができ、高校通算31本塁打を誇る。上武大で4年後のドラフトに向け再出発を切る予定だ。
地元の市船橋では1年秋から「4番・捕手」で試合に出場。2年秋の県大会では4試合で3本塁打を放ち、強打の捕手としてその名をアピールした。3年夏は甲子園に出場。興南との1回戦では、ビハインドの場面で好投手・生盛亜勇太投手から流れを変えるソロを放ったほか、盗塁を刺すなど守備面でも活躍し、チームの甲子園での25年ぶり白星に貢献した。