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卒業制作でスロープを作成!小学生を変えたパラアスリートとの出会い

パラサポWEB

シリーズ「パラスポーツと教育」では、パラスポーツ・パラアスリートからの学びが子どもたちに何をもたらすのか、さまざまな風景から迫ります。
第2回は、東京都の学校での車いすバスケットボールの出前授業を取材。今回授業を受けた子どもたちの様子と、昨年度に授業を受けた子どもたちが起こしたあるアクション。それぞれの変化から、パラアスリートやパラスポーツが人や社会に働きかける強い力が感じられました。

2年続いてパラアスリートが小学校を訪問。昨年の「約束」

学校の体育館に集まって実施された教育プログラム「あすチャレ!スクール」。この回は東京都が実施するTOKYOパラスポーツ月間の一環として開催されました

東京都昭島市に位置する啓明学園初等学校。幼稚園から高等学校までを備える学校法人の、小学校にあたる課程を担う学校です。在籍する児童の約3割が、海外での生活経験があったり、国際結婚家庭に生まれた子どもであったりと、多様な言語経験をもつ「国際生」。そうした背景から児童の個性を大切にする特色ある教育活動を行っています。

2022年9月のある日、この学校を訪れたのは、シドニー2000パラリンピックで車いすバスケットボール男子日本代表のキャプテンを務めた根木慎志さん。小学6年生の児童たちにパラスポーツを体験してもらい、共生社会への気づきや学びの機会を提供する出前授業あすチャレ!スクールを行うためです。根木さんがこの学校を訪問するのは、昨年度に続いて2回目です。

しかし根木さんがこの学校を訪れた目的は、あすチャレ!スクールの実施以外にももう一つありました。それは、昨年度の授業で出会った現在の中学1年生の生徒たちとの、ある約束を果たすため。根木さんが子どもたちに伝えたメッセージ、そして「約束」とは何だったのでしょうか。

「すべての人と友達になりたい」パラアスリートの言葉が響く

熱気に包まれた体育館で、大きな拍手とともに迎えられた根木さん。まずは小学6年生の子どもたちとの時間です。

初めは少し緊張気味だった子どもたちも、根木さんのお話が始まるとじっと聴き入ります

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高校3年生の時、足が不自由になり希望を見失いかけていた根木さんが車いすバスケットボールに出会ったときの衝撃と興奮について話し始めます。車いすバスケットボールの試合を目の当たりにして、すごい!かっこいい!と感動し、すぐにやりたいと思ったのだそう。友人たちもそんな根木さんの姿を見て、気持ちを理解し、寄り添ってくれたと言います。

「人とちがうことを、初めはマイナスにとらえてしまったけれど、誰にでもできないことはあるし、そもそも人はみんなちがっているもの。誰かが困っていたら気づくこと、応援することが大切だと思う。友達ってそういうもの」

友達が喜んでいたら一緒に喜ぶ、友達が困っていたら一緒に考える。だったら、「すべての人と友達になりたい」という信念をもつようになった、とお話を続けます。友達同士、気持ちのやりとりをするのに「障がい」となるものは何一つありません。気持ちを伝えようとすること、理解して受け取ろうとすること、そんな純粋な心のやりとりがそこには存在していました。

プレーを通して「頑張る友達を応援する」こと

お話に続き、根木さんが競技用の車いすに乗り換え、華麗なドリブルやシュートを披露します。さっそうと体育館を走り回り、高く正確なシュートを放つ様子に、子どもたちからも拍手があがります。軽やかなプレーを見て、いとも簡単にこなしているような錯覚に陥りますが、難易度の高いスリーポイントシュートにも挑戦。

華麗なプレーを次々と披露。そのたびに歓声や拍手が沸き起こります

「これから難しいシュートに挑戦するよ。みんなが名前を呼んで応援してくれたら、それが力になるんだ。ぼくたちはもう友達だから、応援してくれるかな?」

ロングシュートを放つ根木さんを、夢中になって応援する子どもたち。こうした経験が、友達同士支え合う姿勢につながっていくのかもしれません

子どもたちはマスクの下から根木さんの名前を呼び、拍手とともに応援を送ります。華麗にシュートが決まったとき、自分のことのように喜ぶ子どもたち。年齢を超えた心のつながりが生まれた瞬間でした。

車いすバスケットボールの体験でひとつになる心

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