
日本では、十二支に猫がいない。その理由は諸説あるが、海外の一部の国ではメンバーから漏れたはずの猫が、十二支に存在している。
ベトナムには兎(ウサギ)年の代わりに猫(ネコ)年となるのだ。他にも、チベット、タイなどにも猫年がある。猫好きにはニャンともうらやましいことだ。
今年、猫年のベトナムでは、1月22日の旧正月を、街中たくさんの猫の装飾で飾り、お祝いをしたようだが、でもなんで兎ではなく猫なのだろう?
2023年、ベトナムでは猫年となる
中国同様、ベトナムには旧正月を祝う習慣がある。ベトナムの今年の干支は猫で、「テト(正式にはテト・グエン・ダン)」として知られているベトナムの正月を祝うため、路上や店内でたくさんの猫の装飾品を見ることができる。

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中国と日本の干支は同じだが、ベトナムでは兎の代わりに猫なのだ。他にも丑(ウシ)年の代わりに水牛、未(ヒツジ)年の代わりにヤギ、猪(イノシシ)年の代わりがブタとなっている。
なぜ兎年じゃなくて猫年なの?
なぜ十二支がウサギじゃなくて猫なのか?その理由は諸説存在するようだ。その一部を見ていこう。1.農作物との関連性
伝統的なベトナム文化の専門家によると、稲作を営む農家に関係している可能性があるという。米はベトナムの農業の大きな部分を占めています。野原には多くの野ネズミがいて、作物の脅威になります。
ネズミを狩る猫は作物を守ることになるので、ベトナム人にとって猫は敬うべき動物だから、干支に入れたという説があります。
また別の説明としては、ベトナム人はネズミとウサギは密接に関連していると考えていて、同じような動物を2年間祝いたくないという気持ちもあるようです。
2.言語の関連性
別の説としては、中国語でウサギを意味する「mao」をベトナム人が独自に解釈したからと言われている。このmaoの発音が、ベトナム語で猫を意味する「meo」に似ているからだそうだが、この説は正確には真実ではないとも伝えられている。
ベトナムのサザン・ジェイド・パビリオン・カルチュラル・センターの文化コンサルタントであるドアン・タン・ロク氏は、このように説いている。
暦の各年には、それぞれが干支の動物に対応する 12 の地上の枝と 10 の天の茎の組み合わせを使用して名前が付けられます。
今年は、10 番目の天の茎 Quy (クゥイ)と 4 番目の地上の枝Mao(マオ)にちなんで、Quy Mao と名付けられています。
中国では、ウサギはマオと呼ばれる地上の枝を表すために干支に選ばれましたが、ベトナム語では、マオの発音は「猫」という単語の発音と非常に似ているというだけで、必ずしも猫やウサギを意味するわけではありません。
これらは、地上の枝のコードとして使用したシンボルにすぎません。
3.住んでいる土地との関連性
一方、UCLA の講師クウイェン・ディ氏 は、ベトナムの猫年説について、中国とベトナムの土地の特徴に関係があるのでは、と話している。元々、中国人はサバンナ地域に住み、ベトナム人は低地に住んでいました。かつての古いベトナム語の本の多くには、干支にウサギがあったことが言及されていたそうで、昔はベトナムでも卯年があったようだ。
サバンナの人々は荒野に近い遊牧生活を好み、野生の野原に住む動物としてウサギを選びました。対照的に、ベトナムの低地の人々は飼い猫を選びました。
さらに、ベトナム人はウサギを「食べ物に使われる動物」と見なし、猫を「家に住む家族」と見なしたため、猫を選んだのでしょう。
だが、いつからベトナム人が干支をウサギから猫に変更したのか、その理由について、はっきりしたことはわかっていないという。

ベトナムの干支、猫年を象徴するオブジェ / image credit:WIKI commons Dragfyre / CC BY-SA 3.0 )
猫生まれの人はどんな性格?
日本でも干支に応じた占いがあるように、ベトナムにも存在する。それによると、猫の年は、国に幸運と順風満帆をもたらすと信じられているそうだ。また、猫年生まれの人は、より活発で勤勉で、人にやさしく社交的な性格の人が多いという。
多くのベトナム人は、他国とは異なる十二支についてあまり気にしていないようだが、猫年がない国の人から見るととても興味深い。
References:Why Vietnam Is Celebrating the Year of the Cat, Not the Rabbit / written by Scarlet / edited by parumo