
障害のある人はもちろん、健常者にも便利で役立つ。大きめの電気スイッチや、交通系ICカード、標識やピクトグラム。シンプルで、どんな人でも直感的に理解できるーー。そんな、実は身近にあふれているユニバーサルデザインについて、知識が深まるエッセイ集。※本記事は、伊藤順子氏の書籍『コレぜ~んぶUDなんです!!』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
【前回の記事を読む】白ではなく…「真っ黒のまな板」「黒い包丁」が売っている理由
耳の不自由なFさんをお招きして
ここで、Fさんは、
「ああ、そうだ! 耳が不自由な事を示す『耳マークバッジ』を胸に着けるのを忘れていた」
と言いました。不意な来客や家族にもわかってもらうために、家の中でもいつもバッジを着けているそうです。そして、
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「次回お会いする時にアリコさんにもプレゼントしますね、お父さんに渡してあげてください」
と言いました。次にお会いした時のプレゼントの約束をするなんて、Fさんなかなかダンディです。
それからしばらくして、前回話し足りなかった事があるので、もう一度話をさせてほしいと、Fさんから申し出がありました。この回では、3人がそれぞれ違う音声文字変換アプリを使用しました。
私は「音声文字変換」というアンドロイド用のアプリ、Fさんは「声で筆談」というアプリ、アリコさんはiPhone用の「UDトーク」というアプリを使用して、ZOOMの画面で見せ合いながら会話を進めました。それぞれのアプリには、画面の見やすさが調整できるものや、終了後に文字をメールで送信できるものなど、長所と短所があります。
まずはFさんがアリコさんに質問をしました。
「今、日本に『聞こえ』で困っている人が何人ぐらいいるかご存知ですか?」