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「耳が聞こえない夫」と「聞こえる妻」の夫婦YouTuberが感じた『silent』への”共感と違和感” 「実際には割と冷たい人もいる」

Real Sound

ゆうこ:次女が大学進学を控えていたので、大学にいくらお金がかかるんだろうと怯えていました。YouTubeをやっている間はなかなか仕事に集中ができないので、こんなことを親がやっていて良いのだろうかという悩みはありましたね。そのときはまだ収益化といっても、お小遣い程度しか入らなかったので、そこに不安を感じていました。しばらくの間は、とにかく大学のことを心配しながら過ごしていました。

――動画では、家の中の様子はもちろんライフスタイルまでしっかり見せてくれている印象があります。そこは意図的にリアルを届けようという気持ちでやっているのでしょうか。

とと:ありのままを出したいと妻が言っていたので、その方が皆さんに見てもらえるのであればいいかなと思いました。

――動画配信を始めたからこそ感じられる家族の絆を聞かせてください。

とと:YouTubeを始めてから一緒に何かをすることが増えて、前より仲良くなったというのは感じています。

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ゆうこさん(左)、かいちゃん(中)、ととさん(右)

――特にドラマ『silent』の感想動画では、夫婦の仲の良さを感じるものもありましたね。絆が深まるきっかけにはなりましたか?

とと:毎週一緒にドラマを見ることを楽しみにしていました。ドラマも楽しんで、その後の撮影も楽しかった。だから、いまは『silent』ロスみたいな感じですよ。

――この『silent』の感想動画で、みゆみゆチャンネルの注目がさらに高まったと思いますが、反響はいかがでしたか。

ゆうこ:本当にすごかったです。新しい視聴者さんが増えているという実感がありました。『silent』の私達の動画をきっかけに過去の動画も見てくれて、追ってコメントを残してくれているのがわかったときには嬉しかったです。

とと:僕はYouTubeのコメントはほとんど見ていないのでよくわかりませんが、反響があったと聞いています。

――『silent』について聴覚障害者の方の目線で感じることがありましたら教えてください。

とと:想(目黒蓮)くんは中途失聴で、僕とは立場がちょっと違うんですけれど、共感できるところもあれば、「そうなんだ」と学ぶところもありました。想くんはドラマの中では元々耳が聴こえていたわけで、音楽も好きだったのに、それを失ってしまった。その心の動きが表されていましたよね。自分とは立場が違うので、共感ではないけれど理解できるなと思いました。

――他にも共感したシーンはありましたか。

とと:想と紬が一緒にいたときに、想が「大丈夫?」と言っていたシーンは気持ちがわかりました。やはり自分も、手話が全くできない健常者と一緒にいると「大丈夫?」って心配になることがある。手話を知らない健聴者だと手話自体に慣れていないので、まわりの人の視線が気になってしまうかなと心配になってしまいます。

――ゆうこさんはいかがですか。

ゆうこ:「ただ一緒にいたいから」と紬(川口春奈)ちゃんが言っていたのは、私はすごく理解ができて号泣しました。ただドラマの中の健常者がみなさん優し過ぎて、そこにちょっと違和感がありましたね。ドラマでは家族も友達も全員理解があったけれど、実際には割と冷たい人もいるし、以前と違うと離れていく人も多いんじゃないかなと思いました。

――やはり実際には嫌な思いをしてしまうこともあるのでしょうか。

とと:絶対あると思います。言い方がちょっと悪いかもしれないけれど、“ドラマにできる部分”だけを切り取っているなという感じはありましたね。

――今回ドラマを見てみて、ととさん、ゆうこさんが互いに「そう思っていたんだ」とびっくりしたことはありますか?

とと:最後のほうの「音楽」に関するところです。そこで妻が、自分に合わせて音楽に触れないようにしていたと話してくれたのですが、それまでそのことは知りませんでした。そういえば、確かに音楽を聴いていたことがないなと思いました。

――ゆうこさんが音楽に触れないというのは、普段から音楽を聴かなかったり、音楽の話題を出さなかったり、音楽番組を見なかったりするということですか。

ゆうこ:そうです。夫と出会う以前は車の中でも音楽をかけていたと思いますが、いまはレンタカーを借りて勝手に音楽が流れている場合には止めたくなっちゃいます。

――それは、ととさんに寄り添う気持ちから?

ゆうこ:そうですね。私だけに聴こえるものは、いらないなって。未だにそれは思います。

――いま、「みゆみゆチャンネル」やドラマ『silent』を見て、それをきっかけに手話をやってみたいという方もいると思います。それについてはどう感じていますか。

とと:私自身の話ですが、親も聴こえないし自分も聴こえないので小さいときから手話で育ってきたんですね。それで中学生くらいのときに『星の金貨』とか『愛してると言ってくれ』というドラマが放送されて手話が出てきましたけれど、それが“いますぐ覚えたて”のような手話だったんですよ。それに比べると『silent』はとても頑張っていて、きちんと「言語としての手話」になっていました。個人的にはこれをきっかけにもっと手話が広まってくれたら嬉しいですね。

――ほかの動画の企画についても聞かせてください。普段は家族の日常を切り取っているとのことですが、ファミリーチャンネルをやることに難しさを感じるときはありますか。

とと:疲れているときとか、出たくないということもあります。

ゆうこ:かいちゃんが、いずれ出たくないと言うときもくるだろうなと思うので、YouTubeの軸は私たち2人じゃないといけないと私は思っていたんです。視聴者のみなさんに「かいちゃんが見たい、かいちゃん大好き」と言われても、かいちゃんを軸にしてしまうことで、その形が壊れたときに続かなくなってしまいます。なんとかして夫と2人でというふうにはずっと考えていましたが、それがこの『silent』でちょっと叶ったのかなという嬉しさはあります。

――やはりお子さんが出ている動画はかわいいし、子育てのことが知りたいという声も多いと思います。でもお子さんが大きくなったときに、これは友だちには見せたくなかったのにということも出てきてしまうかもしれませんよね。その辺りについて思っていることがあれば教えてください。

ゆうこ:そこはやはり子ども次第なのですが、私としては、この環境を利用できる子どもに育ってほしいと思うんですよ。でもそれを判断するのは子ども自身なので何とも言えないのですが。

とと:いまは出たいと言って出ています。でも出ることの意味はあまり深くわかってなくて。

ゆうこ:私は、やりたくないのに2歳からずっと日本舞踊を習っていました。小学生のときに勉強を頑張りたいと嘘をついてやめたのですが、習っていたころは学校の運動会をお休みしないといけないこともありました。学校のイベントよりも日本舞踊の世界を私に優先させた親のことは正直理解ができないと思うこともありますよ。でも日本舞踊があったからこそというものが私の中にあるのも事実。ですから、この環境は私たちの間に生まれたから仕方ないと思ってもらい、あとからそれを利用できるような子に育ってくれればという理想はあります。

――動画の編集はゆうこさんがやっているとのことですが、工夫している部分はありますか。

ゆうこ:自然な感じを動画の中で表現したいので、いまから撮りますということでなく、いつの間にか撮れている状態を作っています。その分撮影の時間が長くなり、10分の動画に2~3時間くらい平気で撮っていることも多い。ですから編集には本当に時間がかかってしまいます。いかに自然な姿を撮れるかということを意識しています。

――私が個人的にとても気になったポイントは、すべての音を「見える化」しているところです。テロップを入れるのはとても大変だと思いますが、非常に面白い試みだなと思いました。実際チャンネルを見ている方で、ととさんと同じように聴こえない境遇の方に向けて音を入れているという側面はあるのでしょうか?

ゆうこ:ありがとうございます。そこはいろいろなことが重なっているのですが……。実は私は高校生のときに漫画家になりたかったんですよ。だから(漫画の擬音のように)音をテロップで見せるのは自分の中では特別なことではないんです。それに耳が聞こえない人も漫画は楽しめるじゃないですか。そういう自分の中での良いと思うことが重なって今の動画に繋がっています。すべてが夫のためというよりは、結果として夫のためになったという感じです。

――ご自身の経験が生かされているところも大きいのですね。これから「みゆみゆチャンネル」をどのようなチャンネルにしていきたいと考えていますか。

ゆうこ:現状維持ができたらいいなと思います。自分たちもそんなに若くはないのでYouTubeで発信する期間もそう長くは残されていない。だから、いずれは自分たちが築き上げたものを子どもに託せたらいいなと思います。そこは残せる相手がいればですが。

――アカウントやチャンネルごと娘さんに譲ってしまうかもしれませんね。

ゆうこ:あると思います。私はYouTubeチャンネルというのは資産だと考えていますので。これは自分たちの子どもや孫にいい形で引き継げることができたら最高だし、今やっていることは何も無駄じゃないというふうに思います。

――ととさんは、どうですか。これからやってみたい企画、挑戦してみたいことなどあれば教えてください。

とと:いま考えているものは特にありませんが、これから孫が生まれるので動画制作も一緒に楽しめたらいいなと思います。

(取材・文=Nana Numoto)

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