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『ガンニバル』柳楽優弥が体現する“善”と“悪”の境界線 “人間らしさ”が垣間見えた後藤家も

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『ガンニバル』©2023 Disney

 1月25日に配信がスタートしたディズニープラス「スター」オリジナルシリーズ『ガンニバル』第6話「予感」。最終回のひとつ前のエピソードとなる今回、本格的にこの物語における“善”と“悪”の存在が混ざりはじめた。

参考:『ガンニバル』静かな威圧感を放つ田中俊介が恐ろしい 終盤に向けて物語が一気に加速

「誰かのために手を汚せんような奴はゴミじゃ」

 大悟(柳楽優弥)が後藤家を探っていることを村人から聞かされた恵介(笠松将)は、大悟を狩りへと誘い、森のなかでそう告げるとまっすぐ銃口を向ける。それは大悟が娘のましろ(志水心音)を守るために一線を超えた過去に対しての言葉であり、後藤家の次期当主となる恵介が劇中で何度も言う「後藤のため」という言葉と同じように、何か/誰かを背負ったもの同士の共鳴でもある。そして恵介が「後藤のため」と言うたび、それは彼自身が彼自身の宿命を呪っているかのようにも聞こえてくる。

 大雨の夜に駐在所にやってきた加奈子(山下リオ)から、後藤銀(倍賞美津子)に子どもを奪われた時の話を聞く大悟。戻ってきた2人を待ち受けていたのは、さぶ(中村梅雀)をはじめとした村人たちだった。「何を嗅ぎ回っとるんや」と詰め寄られた大悟は、突然スイッチが入ったかのように彼らに凄みをきかせるのである。

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 供花村に着任早々起きた事件に端を発し、狩野(矢柴俊博)の失踪と後藤家の関係を追いかけ“あの人”の存在を知る。第3話での後藤家の三人衆との対峙を経た後に大悟を襲ったのは、善良そうに見えた村人たちの異様さ。そして、その村人と後藤家のつながりが見えたことで、大悟は再び矛先を後藤家へと向ける。有希(吉岡里帆)から「あんた、なんか楽しそうじゃない?」と言われるほど攻撃性を増していく大悟。大悟という主人公でさえも“善”と“悪”のおぼろげな境界線の上を行ったり来たりしていることが理解できる。

 また、初めは善良そうだった村人たちの化けの皮がひとしきり剥がれたこのタイミングで見え始めるのは、初めから異質な集団であった後藤家、とりわけ本家を継ぐ者である恵介と洋介(杉田雷麟)の苦悩に他ならない。後藤家でも一部の人間にしか教えられない秘密の場所に洋介を案内する恵介。そこにいるのは祭りの日に“喰われる”子どもたちだ。当主となる恵介は、それまで自分が務めてきた世話係を洋介に委ねる。洋介は“人間にしか見えない”子どもたちの姿を見て苦しみを味わう。そして祭りに向かう直前に、すみれ(北香那)から掛かってきた電話を受ける恵介の表情と、回想される銀の言葉。この終盤の一連の出来事によって、後藤家の“人間らしさ”が垣間見えるようになったといってもいいだろう。

 一方、久々に登場した監察医の中村(小木茂光)は、狩野の死にもつながるいくつかの事実を大悟に告げる。狩野が病院に連れてきた銀が患っていたとされる“クールー病”。それは第2話ですみれが大悟に話していた“食葬”を行う風習のあったパプアニューギニアのフォレ族の間で1960年代の初頭に広まった脳の変性疾患のひとつであり、ほとんどの場合で発症から2年以内に死に至る。現代ではほぼ消滅したと思われていた病だ。数十年前に同じような症状を患ったという無戸籍の子ども。大悟は、それが“あの人”の正体なのではないかと考えるのだ。

 “祭り”という村社会の異質さをあらわす上で絶好のシチュエーションが用意された最終話を前に、“確信”を掴むために有希とましろを先輩刑事に預け一人で供花村の後藤の屋敷へと乗り込んでいく大悟。次で物語としてのひとつのピリオドが打たれるとしても、ここまで高まりに高まった供花村の暗部への好奇は、あと1話だけではとても満足しきれない。(久保田和馬)

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