
老後の生活資金の確保には、支出を減らす・無駄遣いをしないことが大前提。しかし、お金がうまく管理できない・いらないものばかり買ってしまう、といった行動が積み重なると、その後の生活に大きな影響を及ぼします。本記事では、お金のプロが「60歳からの正解」をわかりやすく紹介します。※本記事は、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)より抜粋・再編集したものです。
アプリで資産管理…生活費を把握して支出減を目指す
◆家計簿アプリを活用した資産管理
お金を貯めるために一番早く効果が出て継続が簡単なのが「支出を減らす」こと。まずは毎月何にいくらお金を使っているかを把握することが大切です。
具体的な方法として、受け取ったレシートや支払い明細を①固定費、②変動費、③その他の3つに分類します。1カ月分をまとめたら、どの分類が一番多いかを確認。そして今後も必要な支出には○、不要な支出には×をつけていきます。翌月は×の支出を減らすようにすれば、自然とムダ遣いがなくなります。
こうした資産管理を手軽に行うには、家計簿アプリの活用がおすすめです。なかでも「マネーフォワードME」は、口座やクレジットカードと連携したり、レシートを撮影したりするだけで自動的に家計簿を作成できる機能があるため、おすすめです。はじめは支出の分類を手動で振り分ける必要がありますが、以降はアプリが自動で振り分けます。こうしたサービスを活用すると、家計簿作成の負担を軽減できるため、継続しやすいです。
ムダ遣いの理由を「行動経済学」から探ってみよう
◆人が判断を誤るメカニズム
節約の方法を学んでもなお、ムダ遣いをしてしまうのが人というもの。
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では、なぜ浪費してしまうのでしょう。それは一見合理的に見える判断も、実は誤った認知やバイアスに惑わされていることがあるからです。
例えば、割引された商品を見て「お得な商品だ、買いたい」と思ったら、それは「アンカリング効果」が働いているかもしれません。割引前の価格が示されていると、「これだけ価値があるものが、ここまで安くなっている」と認識して、脳がお得と思い込んでしまうのです。
また、「ザイオンス効果」といって、接触回数が多いほど好意を抱きやすくなるという効果があります。何度も広告を目にするうちに商品が欲しくなるのはこの効果が働いているからなのです。ほかにも、ほかの人に後れを取らないように商品を購入してしまう「バンドワゴン効果」や、禁止されるほど興味をかきたてられる「カリギュラ効果」などもあります。どんな要因で判断を誤るかを把握しておけば、ムダ遣いの防止に役立ちます。

●アンカリング効果
値下げ前と値下げ後両方の価格を示すことで、値下げ前の価格が基準(アンカー)になって「お買い得だ」と感じる
●ザイオンス効果