
2022年(令和4年)度の税制改正大綱には、所得税の課税強化が含まれていました。税制は新設や見直しが毎年実施されています。そのため、どのように制度が変わったのかを把握しておくことが大切です。今回は、令和4年度の税制改正大綱における法人税関連の改正ポイントを紹介します。
富裕層の金融所得の課税強化
富裕層の中には、会社から得られる収入だけでなく投資によって収入を得ている人も多いと思います。
会社から受け取る給与所得には、超過累進税率が採用されており、以下のように所得金額が大きければ大きいほど高い税率が課されています。
上記に住民税と復興特別所得税を合わせた最高税率は55.945%です。
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株式投資の場合、売買で得られた譲渡益(売却益)や配当金に適用される税率は、所得税と住民税を合わせても一律20.315%と優遇されています。
しかし、税負担の公平性という観点から金融所得に対する課税の見直しが検討されており、金融所得に対する課税が今後強化される可能性がございます。
課税強化の3つのポイント
令和4年度の税制改正にも、金融所得に対する課税体制の強化が盛り込まれています。強化のポイントは以下の3つです。
・上場株式等の配当所得等における課税方式の一致
・大口株式等の要件見直しで総合課税の対象が拡大
・財産債務調書制度の提出義務者が追加
▶上場株式等の配当所得等における課税方式の一致
源泉徴収ありの特定口座を開設して上場株式や上場投資信託等の運用をした場合、所得税と住民税それぞれで「確定申告または申告不要」、確定申告する場合は「分離課税または総合課税」を選択できます。
例えば、「所得税は総合課税で確定申告、住民税を申告不要」というように違う課税方式を選択すれば、税率の差をうまく利用することで節税が可能です。