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インターナショナル幼稚園の常識はずれは日本人?それとも外国人?

【インターナショナル幼稚園編 STORY 04】

お読みいただく前に…

これは30年以上前の話です。社会情勢や法律など、現代と大きく異なっています。今では考えられない出来事もありますが、そんな時代もあったのかと広い心でご覧いただければ幸いです。

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インターナショナル幼稚園の常識はずれは日本人?それとも外国人?

2歳児を保育するのにピンヒール? 日本の常識ではありえない感覚

 1週間も経つと、園内を流れる英語の曲に混じって、4・5歳児の歌声も聞こえるようになりました。ラフィと日本人の園児たち。意志の疎通はどうなっていたのでしょうか。その心配は、日本語を理解できないラフィーを心配した奥さんの京子さんが通訳に来てくれたことで解消したのです。京子さんがヘルプするのはラフィのクラスだけですが、全クラスを補佐している私の負担は大きく軽減されました。

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 私はまだまだ大変な2歳児クラスに専念しました。担任のベスは、一番激しく泣いている子を抱いて歩きまわることしかしません。一瞬目を離しただけで何が起こるかわからない状況にもかかわらず、全くと言っていいほど他の子に注意を払わないのです。保育者としてあり得えない状況に驚くも、それにも増して目を疑ったのは、彼女が履いていたサンダルでした。なぜかピンヒールのサンダルを履いているのです。そんな格好で子どもを抱き、トイレに連れていくなんて、日本の常識では考えられません。子どもが号泣する事態になれば転んでしまうことを身振り手振りを交え伝えますが、アメリカではそれが日常だったと言って譲りません。ピンヒールでの保育は本当に問題なかったのでしょうか。笑顔で「No problem. Don’t worry」と答えるベスに憤りさえ感じていました。真偽のほどは今もわからずじまいです。

3歳児クラスは定員いっぱいの30人。黒人の先生に訪れる試練

 3歳児のクラスは定員いっぱいの30人。担任のトニーは、明るく優しいだけでなく大の子ども好きでした。しかも日常会話程度なら日本語も理解できます。当初から一番先に信頼関係を築けるだろうと思っていました。私の予想に反して、子どもたちはなかなかトニーには懐きません。抱かれるなんてもってのほか、近くにいるだけで泣いて後ずさりする園児もいます。

 よくよく見ていると、トニーと園児の間にある大きな壁は彼の肌の色でした。今なら街中で黒人を目にすることも珍しくないですが、30年以上前の地方都市では、全くと言っていいほど見かけませんでした。大人が相手なら問題なかったでしょう。でも子どもはあまりに正直過ぎました。初めて見る肌の色に驚き、恐怖を示したのです。

 泣き叫ぶ園児と過ごす毎日に、一日でも早く慣れさせようと奮闘するトニー。3歳児30人と仲良くなるために、園児の様子を細かく観察していました。園児が泣いている理由にすぐ気づいたのでしょう。頑張り屋のトニーが自信を失うまでに、そう時間はかかりませんでした。

発言を書き留めるだけで終わる職員会議。私の意見を伝える術は

 園児や保護者との信頼関係に問題ありませんでしたが、連日開かれる職員会議では、相変わらず苦戦していました。内容を書き留めるのに必死で、口を挟む余裕はないのです。意見を言わなければ、問題点は改善しようもありません。

 そこで考えたのは、議事録の最後に私の意見を書き込むこと。反省点と改善策を箇条書きすることにしたのです。英和辞典とにらめっこしながら議事録を書き終えたら、次の作業。その日の保育について反省点を書き出し、事故につながるような大きな問題から忘れ物など些細な出来事まで重要度順に並べます。改善策をまとめたら、和英辞典に持ち替えて英訳に取り掛かります。職員会議の終了は17時でも、私が幼稚園を後にするのは連日20時を過ぎていました。

通常保育がスタート。通園バスの介助のため毎朝6時半に出勤

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