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『舞いあがれ!』横山裕が真の救世主に “ダメ兄”続きだった朝ドラに終止符

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『舞いあがれ!』写真提供=NHK

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第16週となる「母と私の挑戦」が放送された。舞(福原遥)はめぐみ(永作博美)と共に浩太(高橋克典)の遺したIWAKURAを立て直そうと懸命に頑張っていた。しかし経営は簡単ではない。そのIWAKURAに最後に手を差し伸べたのが悠人(横山裕)である。

 会社の借金返済のため、めぐみは長男で投資家でもある悠人に工場を買い取る形で投資をしてもらおうと考える。最後の頼みの綱となった悠人だが、幼い頃には両親が身体の弱い舞にかかりきりで寂しい思いもしてきた。その分自立が早く、野心家な一面も持ち合わせた悠人は今や投資の道で成功を収めている。だが投資家の仕事はIWAKURAのネジのように目に見えるものを作り出して売るわけではない。やはり浩太やめぐみにはピンとこない部分もあったのか、悠人の仕事が理解を得られる日は訪れなかった。浩太とは言い合いから和解のないままに死別したこともあり、そんなことを悠人がどう感じているのかと気がかりなキャラクターでもあった。

 しかし会社を引き継いで幾多の苦労を乗り越え、経営者の才能を開花させためぐみは、潔く悠人を頼る。これは悠人にとって、なかなか理解されなかった「投資家」としての力量を認めてもらえたとも受け取れるだろう。息子としてこれほど嬉しいことはない。握手を求めるめぐみの手をしっかりと握る悠人の姿からは、2人が新しいかたちで信頼関係を築いたようにも見えた。

 思えば大学時代から親に連絡もよこさず、家にも寄り付かずの悠人は、浩太とめぐみだけでなく視聴者にとっても心配な存在だったろう。そう思ってしまうのも無理はない。なにしろ最近の朝ドラにおける“兄”というものが、あまりにダメ兄続きだったのだから……。

 ここ最近は、第105作目の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の算太(濱田岳)、第106作目の朝ドラ『ちむどんどん』の賢秀(竜星涼)と、ヒロインの人生に悪い面での影響を及ぼすようなキャラクターが続いた。彼らは、性格は明るく愛嬌もあり“根はいい人”という描かれ方ではあったものの、実態は家の金を持ち逃げしたり、怪しい商売に手を出しては失敗し続けるようなだらしなさがあった。視聴者はそんな兄たちを観てきたからこそ、悠人が「指一本で億稼げる人になる」と発言した時には嫌な予感しかしなかったものだ。

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【写真】反抗期(?)の頃の悠人(横山裕)

 だが今の悠人は、しっかりと投資家としてステップアップし、学歴・キャリア共に申し分ない。その上、家業のIWAKURAの窮地を救う存在にまでなったのだ。そんな悠人に対してSNSでは「反抗期に手間取っていただけの超有能親孝行息子だった」との声も上がっており、信頼感が高まっている。

 2作続いた「朝ドラ=ダメ兄登場」の流れ。だが『舞いあがれ!』の悠人はこの流れを断ち切り、頼れる立派な兄像を見せ続けてくれそうだ。

(Nana Numoto)

 
   

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