
「蟹江高校が来年の三月で無くなるのを知っとるか? ラグビー部も既に無いとのことだ」母校の閉校をきっかけに再会を果たした、昔の仲間たち。ラグビーに青春をかけたあの頃が鮮やかによみがえる。第二の青春を謳歌する中年男たちを描いた、真実の物語。※本記事は、相木英人氏の小説『ノーサイドの笛はまだ聞こえない 約束のスクラム』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
第三章・緊急入院
重美の病室を出て俺たちは病院内の喫茶店に入った。キミを名古屋駅までナオミの友人が送ってくれるそうだ。それまでの時間つぶしだ。昨夜からの続きでキミとの思い出話がつきなかった。
迎えが来た。
「またな、キミ」と俺が言った。
「また、東京の家にも遊びに来てね。久しぶりに皆に会えて楽しかったわ。いろいろあったし」
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「ああ。またこいつらと行くわ」
今度はいつ会えるかわからないが、約束をして別れた。
「直。東京勢の先輩たちも今日帰るのか?」
「おう。今日帰ると上床先輩から連絡があったよ。重美の容態を心配していた。朝、俺たちより先に見舞いに来てたらしいぞ」
「何? さすが、上床先輩だな。また、来月の練習に来てくれるかな?」
「出張がなければ先輩たちは来るぞ」