ボートレース戸田のファミリーに向けた取り組みは、モーヴィにとどまらず、さらに広がりをみせようとしている。2022年10月29日・30日の週末に、大人と子どもが一緒に遊び、体験しながら「ふつう」と「ちがい」の世界を学ぶ『あすチャレ!ファミリーアカデミー』(プログラム提供:日本財団パラスポーツサポートセンター)が行われた。

当日は多くのファミリーが参加。やや緊張した面持ちで待っていると、講師の山本恵理氏と馬島誠氏の二人が登場。自身のエピソードや体験談を交えながら、「ちがい」を自分の力としてプラスに考える重要性を教えてくれた。また、ゲームやクイズを一緒にしながら話を進めることで一体感が生まれ、参加者もより自分ごととして考える機会となった。
体験の時間では3グループに分かれ、視覚に障がいがある人の誘導体験、車いす体験、ボートレースについて学ぶ体験「ボートレースってなあに?」が行われた。全てが初体験という家族も多く、真剣に興味深く楽しんでいる姿が印象的だった。




同じ親子をターゲットにしたコンテンツといっても、「楽しむ」がメインのモーヴィ戸田に対し、『あすチャレ!ファミリーアカデミー』は「楽しむ」だけでなく「学ぶ」ことにも力点を置いたコンテンツだ。こうした「学ぶ」イベントとボートレースの結びつきも意外に思えるが、今回なぜボートレース戸田で開催されたのだろうか?
「戸田ボートレース企業団の八木橋英一事務局長が、ある会議のときに『あすチャレ!』プログラムのお話を聞いていたく感銘を受け、すぐに担当者に、『ボートレース戸田でも開催できませんか?』とお伺いしたそうなんです。その後こちらへロケハンに来ていただくなどすり合わせを重ね、今回の開催が実現しました」(大井川氏)
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「学ぶ」コンテンツの可能性を事務局長が感じたのがきっかけだったのだ。大井川氏と宇田川氏も実際に『あすチャレ!ファミリーアカデミー』の様子を見て、障がいに対してのイメージがガラリと変わったとのこと。子どもや親に新鮮な学びの機会を届け、社会・地域への貢献度も高いことに気付いたそうだ。
「山本さんと話してみたらすごく明るくて。障がいのない人は障がいのある方を見ると大変そうだなと思いがちですが、実際は常に大変・困っているわけではなくて、私たちが勝手にイメージをつくってしまっているんだということに気付かせてくれました。また、社会・地域貢献はボートレースだけでは成し得ないことなので、こういった機会を作って多くの人に足を運んでもらうことがすごく大切だなと思いましたね」(宇田川氏)
「人はみんな違うのが当たり前ということに気付かされました。今まで子ども向けのイベントとしてはキャラクターショーや科学体験コーナーなどを開催してきましたが、『あすチャレ!ファミリーアカデミー』で、これまでとは違うアプローチができたなと思います。子どもたちに新たな学び、気付きの機会を届けられたのが良かったですね。今後の人生にすごくいい影響をもらえたんじゃないかなと思っています」(大井川氏)
アクティビティの中で、家族同士で普段はなかなか言えないような感謝の言葉を伝え合うなど、どのファミリーも充実した時間を過ごした。大井川氏は参加した親子の満足げな表情を見て、今後も継続して開催していきたいと語ってくれた。
「初めての試みでしたが、多くの家族に参加していただくことが社会・地域貢献になるんだと感じました。せっかくダイバーシティ&インクルージョンについて学ぶチャンスを得たのに一回で終わるのはもったいないので、今後も定期的に開催できたらいいなと思います」(大井川氏)
これまでコアなファン向けだったボートレース場という枠を越え、多様な取り組みを導入したことでファミリーでも一日通して楽しめる場所となったボートレース戸田。楽しさと学びを届けていく中で、地域により貢献し、より身近な存在となっていくことだろう。興味を持った人はぜひ足を運んでほしい。こういった取り組みは、新しい遊び場としてはもちろん、新しいスポーツとの出会いの場にもきっとなるはずだ。今後のスポーツ施設の多様な取り組みと進化にますます期待が高まる。
モーヴィ戸田
https://www.mooovi-toda.jp/index.php
あすチャレ!ファミリーアカデミー
https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/academy/family/
text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
key visual by 戸田ボートレース企業団