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少年は深淵へ堕ちる。地方都市の心中群像劇『少年のアビス』レビュー

ホンシェルジュ

2022年にドラマ化されますます絶好調の漫画、峰浪りょうの『少年のアビス』。
地方都市で繰り広げられる愛憎ドラマを描いた本作は、心中がテーマのシリアスなストーリーや、過去と現在が呼応する複雑な人物相関図が注目を集めています。
今回は『少年のアビス』のあらすじや魅力をネタバレを交え紹介していきます。

『少年のアビス』の簡単なあらすじと登場人物紹介

主人公の黒瀬令児は地方都市在住の高校生。母は何かと息子に依存し、認知症の祖母の介護やひきこもりの兄の使い走りを頼んできます。

鬱屈した毎日を送っていた矢先、深夜のコンビニでバイト中の青江ナギと出会いました。ナギは令児の幼馴染であるチャコこと秋山朔子が推しているアイドルグループ「アクリル」のメンバーでした。

ナギに町のガイドを頼まれた令児は、嘗て小説家・似非森耕作の著作の舞台になった自殺の名所「情死ヶ淵」に言及した際、彼女に心中を持ちかけられます。

令児はナギの申し出を承諾し彼女と関係を持ちますが、直後に似非森耕作自身が登場。ナギと彼が結婚している事実が判明し……。

著者峰浪 りょう 出版日

どこにも行けない地方都市の閉塞感

『少年のアビス』は既刊10巻、累計発行部数は100万部を突破した人気漫画。荒木飛羽主演のドラマでも知名度を上げました。

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『少年のアビス』の魅力は、地方都市特有の閉塞感を切り取ったストーリー。

まず主人公・令児の家庭環境がとても悲惨。兄は暴力的なひきこもり、祖母は認知症。看護助手の母には精神的に束縛され、自分を殺して生きてきました。

令児の幼馴染のチャコや峰岸玄にも同じ事が言えます。

チャコは田舎では割と有名な女子校の生徒なもののぽっちゃり体型がコンプレックス、将来は東京の大学に進みたいと切望しています。

玄は裏社会と関りが深い建設会社の息子で、家業を継ぐことが予め決まっていました。

彼等に共通するのは生まれた場所に縛られ、どこへも行けない事。

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