少子高齢化が進む日本において企業の人材確保は喫緊の課題だ。とはいえ、中小企業は大企業と同じ規模の採用活動をするのは難しい。そんな中、近年注目されているダイバーシティ経営とはどんなものなのか? 20年以上前からダイバーシティ経営に取り組んでいるある企業の成功事例とともに紹介しよう。
ダイバーシティ経営についての目次1.ダイバーシティ経営、ダイバーシティマネジメントとは?
2.なぜ今、ダイバーシティマネジメントが必要なのか?
3.ダイバーシティ経営の成功事例――株式会社大橋運輸(愛知県)
4.ダイバーシティ経営のコツは、経験を重ねてノウハウを溜めていくこと
5.障がいのある人の採用がチーム力を高める
6.ダイバーシティ経営を実現させるためのプラスアルファ
7.ダイバーシティ経営が、社内・社員にもたらしたもの!
ダイバーシティ経営、ダイバーシティマネジメントとは?

日本は世界でもダイバーシティ対応が遅れていると言われて久しい。そのため各企業はその対応を求められているが、そもそも企業が取り組むべき「ダイバーシティ経営」あるいは「ダイバーシティマネジメント」と呼ばれる取り組みとはどういうものなのだろうか。
2018年4月から「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会」などを開き、その推進を行っている経済産業省では「ダイバーシティ経営」を以下のように定義している。
「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」ここで言う「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性はもちろん、キャリアや経験、働き方などの多様性も含んだ、あらゆる人材のこと。つまりダイバーシティ経営、ダイバーシティマネジメントとは、こうした人たちが持つスキルや潜在的な能力、特性などを生かすことで生まれた自由な発想を、生産性の向上、自社の競争力強化につなげる経営を意味する。
参考サイト:ダイバーシティ経営の推進(経済産業省より)
なぜ今、ダイバーシティ経営が必要なのか?

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ダイバーシティは、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsの「誰一人取り残さない」という観点からも重要とされ、日常生活や学校、地域社会などでも多くの取り組みが行われている。ではビジネスにおいて、ダイバーシティ経営がなぜ必要で、それは生産の向上や競争力強化にどう繋がるのだろうか? 経済産業省では特にダイバーシティ経営の大きなメリットとして、以下の4つをあげている。
(1)プロダクト・イノベーション多様な人材が異なる分野の知識、経験、価値観を持ち寄ることで、「新しい発想」が生まれ、製品・サービス自体の開発改良に繋がる。
(2)プロセス・イノベーション多様な人材が能力を発揮できる働き方を追求することで、製品・サービスを開発、製造、販売するための手段を新たに開発したり、改良を加えたりする創造性が高まる。あるいは管理部門の効率化にも繋がる。
(3)外的評価の向上多様な人材を活用していること、およびそこから生まれる成果によって、顧客や市場などからの評価が高まり、それが顧客満足度の向上や社会的認知度の向上に繋がる。
(4)職場内の効果自身の能力を発揮できる環境が整備されることで社員のモチベーションが高まり、働きがいのある職場に変化していく。
参考資料:「多様な個を活かす経営へ ~ダイバーシティ経営への第一歩~ダイバーシティ経営診断シートの手引き」2019年3月 経済産業省ダイバーシティ経営は、「取り組まなければならない」と企業に課された義務のように捉えられがちだが、実は企業に大きな恩恵をもたらす「取り組んだほうがいい」ことであるのだ。
ダイバーシティ経営の成功事例――株式会社大橋運輸(愛知県)
