Kroiが1月8日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でツアー「BROADCAST」の追加公演を開催した。
「BROADCAST」は、Kroiが昨年7月発表のメジャー2ndアルバム「telegraph」を携えて開催した全国ツアー。昨年9月の神奈川・Yokohama Bay Hallを皮切りに、LINE CUBE SHIBUYAまで自身最大規模となる全国17カ所18公演が行われた。Kroiにとって最大キャパとなった追加公演のチケットはソールドアウト。彼らは大勢の観客が見守る中、新旧織り交ぜた全19曲をパフォーマンスした。

定刻を少し過ぎた頃、ニュース番組風のBGMとアナウンスが場内に流れ出す。この中では内田怜央(Vo)、長谷部悠生(G)、益田英知(Dr)、Kroiのマネージャーが参加するダイエット企画の近況や、ツアー中に実施されていた益田と長谷部が「WATAGUMO」の歌唱権をかけて競い合う企画「WATAGUMO Battle」の結果発表が本公演の中で行われることなどが告げられた。ライブ本編は「telegraph」のオープニングナンバー「Drippin’ Desert」で幕開け。内田はハンドマイクを手に取ると、浮遊感漂うシンセサウンドの中、キレのあるラップを繰り出していく。民族音楽的なセッションを経て披露された「Monster Play」では、メンバーの息の合った演奏を、オーディエンスは拳を掲げたり体を揺らしたりしてライブを楽しんだ。Kroiはその後、「Juden」「Balmy Life」「Mr. Foundation」など人気曲を次々と披露。ライブならではのアレンジを織り交ぜるなど、技巧派バンドぶりをいかんなく発揮して序盤からオーディエンスを踊らせた。

9曲目「Flight」では冒頭で内田が一旦ステージから退場。残された4人はアーバンなバンドアレンジで「Flight」を演奏し、場内を艶やかなムードに染め上げる。演奏が終わると内田が合流して「侵攻」「夜明け」の2曲をパフォーマンス。Kroiは前半戦とは打って変わり、メロウかつアダルトな雰囲気漂う演奏を会場いっぱいに響かせた。その後のMCコーナーでは突然、紅茶や軽食がステージに運び込まれる。これは千葉大樹(Key)の「ライブ中にアフタヌーンティーをしたい」という希望を叶えたもので、彼はアフタヌーンティーのマナーを説明しながら食事を楽しんだ。この様子を見守っていた内田は「すげえな、本当に食事してるじゃん。これ誰が楽しいんだよ(笑)」とツッコミを入れて会場の笑いを誘った。

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Kroiの遊び心あふれる演出はアフタヌーンティーだけでは終わらない。ライブ終盤、本公演の冒頭でアナウンスされていた「WATAGUMO Battle」の結果発表が行われることに。この企画は前述したように益田と長谷部が「WATAGUMO」の歌唱権をかけて競い合うという内容で、ツアー各公演の会場票、スタッフ票、イベンター票、ハッシュタグ「ワタグモバトル」を付けたツイートを集計したTwitter票の集計を元に勝敗が決まる。その結果、益田が会場票以外の項目すべてで長谷部を上回り、「WATAGUMO」の歌唱権を獲得。彼は「クソ気持ちいいな(笑)」と喜びを語り、対戦相手の長谷部に向けては「お前はどんなにラジオや動画でふざけても、Kroiの2番目だからな(笑)」と言い放った。このコミカルなやり取りに会場が笑いに包まれたところで演奏がスタート。益田がステージを練り歩きながら、気持ちよさそうに「WATAGUMO」を歌い上げた。Kroiはその後、ライブ定番曲「Network」「HORN」「Shincha」を立て続けにプレイ。会場に深い余韻を残してステージをあとにした。

Kroiは鳴り止まないアンコールに応えて再びステージに現れると、まず本公演の翌日に配信リリースされた最新曲「Hard Pool」を初パフォーマンス。演奏が終わり彼らが3月にメジャー2nd EP「MAGNET」をリリースすることをアナウンスすると、オーディエンスからは大きな歓声が湧き起こった。内田はここまでライブを見守ってきたファンに感謝を伝えたのち「こんなに大きな会場でライブができて、本当にがんばってきてよかったなと思っております。ですが、まだまだKroiちゃんは先に行こうと思ってますので、皆さんご支援のほどよろしくお願いいたします!」と呼びかけたのち、ラストナンバー「Fire Brain」をプレイ。Kroiはこの日一番のエモーショナルな演奏を届けて本公演を華やかに締めくくった。