■時代劇というものに苦手意識があった
――大河ドラマへは初出演となりますが、改めてオファーが来た時のお気持ちをお聞かせください。
俳優という仕事をやっているからには、大河ドラマは一度は出たいと思う、そういう作品だと分かっているんですが、自分は正直、時代劇というものに苦手意識があったんです。歴史に詳しくないので、台本を読むのにすら苦労するんです。でも、今回の台本を読んだ時、すごく面白いと思えました。「こういうふうに歴史に触れられたら、もっと歴史を好きになれただろうな」と思うような台本ですし、いただいた企画書もすごくキラキラしていて楽しそうだったんです。「その世界の一部になれるならうれしいな」という気持ちで、引き受けさせていただきました。
■「どうする家康」の現場はにぎやかだなと思います
――実際に現場に入ってみていかがでしたか?
みんなが大河ドラマに出たいと思う理由がやっとわかりました。美術セットとかがとてもすごいんです。スタジオに池があるなんて、僕は初めての経験でしたし、僕が美術部だったらNHKで働きたいと思うくらいです。馬術の稽古や所作にもたくさん時間をいただいて、いろいろなものをもらえている気がしてうれしいです。
――共演者の皆さんの雰囲気はいかがですか。
「どうする家康」の現場はにぎやかだなと思います。僕は切り替えが下手で、不器用なところもあるので、割としゃべらずにいるほうですけれど、ふとしたときにコミュニケーションをとれるんです。撮影の合間、殿(松本潤さん)が写真を撮ってくれて、そういう小さな時間で気持ちが楽になる瞬間があります。
■榊原康政だけ知らなかった
――歴史上の榊原康政を知っていましたか?
僕は徳川四天王のうち、榊原康政だけ知らなかったんです。学生時代、歴史をちゃんと勉強していなかったので、今回初めて知っていっています。
――このドラマで描かれる榊原康政は、どういう人物と捉えて演じていますか?
最初はなかなか人物像がつかめなかったんですが、今はすごく面白いなと思ってやっています。「殿に忠義を尽くす」ということに関しても、あくまで自分のペースで接するし、自分の気持ちを押し殺すこともしない。実はわりとひょうきんなところもあってとにかくマイペース。
マイペースって、良い意味も悪い意味もあるから、時に生意気に見えることもあるし、特に最初の頃は実際生意気なんですけれど(笑)、その根っこには、自分の物差しがちゃんとある。自分をしっかり持っているから、周りに影響されないというか。人や物事を「自分の目で見て、自分で感じられる人」なのかなと。演じるにあたっても、最初は迷っていたけれど、「大事なのはその瞬間、その瞬間、どんな気持ちでセリフを言えるか」というところに立ち返れてきた気がします。
■考えることそのものを楽しんでいる人なのかなと
――「自分の目で見て、感じられる人」というのは、具体的なシーンやせりふで感じたのでしょうか?
どれか一つというより、全体の流れの中でだんだんとです。小平太って、割と状況を確認するようなセリフが多いんです。そのせりふをなぜ小平太が発するのかなと考えたとき、やがて四天王になっていく人物だから、自分なりに物事を整理したくてこの言葉を口に出しているのかなと感じて。“この状況、自分だったらどうするだろう”と考えているし、考えることそのものを楽しんでいる人なのかなと思っています。