
※本記事は、間埜 心響氏の小説『月光組曲』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
【前回の記事を読む】「あれっ」利用者がほとんどいない無人駅で見かけた「人物の正体」
第一章発端
次の日の昼休み、いかにもふと思い出したふうを装って私は所長に聞いてみました。
「このあたりに学校はないとおっしゃいましたよね」
「佐伯さん、あの駅で見たっていう女の子、まだ気になっているの?」
広告の後にも続きます
刑部さんはからかうような言い方で屈託なく笑い、
「町役場に隣接して月ノ石資料館というのがあります。そこの館長の浜村(はまむら)さんという人に会ってみて下さい。月曜休館で土日は開いているから、週末にでも行ってみたら。もっとも月曜以外の日も休館日みたいなものですがね」
「月ノ石資料館、ですか」
「浜村さんは六十年以上この町に住んでいる月ノ石の生き字引みたいな人だから、学校のことも何か知っているかもしれませんよ」
「そうですか」
「この町のことを知るにはおそらく資料館が一番でしょう。今でこそこんな寂れた町ですが、月ノ石には意外に奥の深い歴史があるようだから」