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「ギャー!」女子生徒が泣き出した、教室での悪質な嫌がらせとは

幻冬舎ゴールドライフオンライン

いじめっ子もいじめられっ子も、それぞれの問題と向き合い、成長していく様を描いた物語。※本記事は、民生児童委員・鶴石悠紀氏の小説『ブ・デ・チ【文庫改訂版】』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。

中学生活開始

三 いじめの本質

ある日、体育の授業が終わって、男子生徒より遅れて女子生徒と一緒に教室に戻った美和ちゃんが、

「あれっ、社会の教科書がなくなった。次の授業の用意をしておくつもりで体育に行く前に机の上に出しておいたのに。机の中にもない。どうしたんだろう。どうしよう」

美和ちゃんは見た目の印象と違って心の優しい大人しい性格で、大きな声を出したり、叫んだりはしない。その美和ちゃんが泣きべそをかきそうになっている。

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「誰かの引き出しに間違えて入っているんじゃないか」

鈴木連君が言い出した。エリが見ると連君はニヤニヤと笑った。(おかしいな)とエリは思う。エリが自分の机の中を調べてみると、一番底に自分のではない社会の教科書が入っているではないか。裏表紙を見ると、相田美和と名前が書かれている。

「美和ちゃん、あったよ。私の机の中に入っていた。でも私が入れたんじゃない。誰かが机を間違えたのか、わざとやったのか、わからないけど。ハイ」

エリはそう言って教科書を美和ちゃんに手渡した。美和ちゃんもエリの仕業だとは思っていない。ニヤニヤしている何人かの男子生徒の仕業だろうということは分かっている。分かっていても根がやさしい美和ちゃんは先生に訴えたりはしない。

「ありがとう。見つかって良かったわ」

美和ちゃんはエリににっこりした。悪ガキ三人組は、ひそひそと

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