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映画脚本の登竜門! 第48回城戸賞発表

キネマ旬報WEB

1974年12月1日、「映画の日」に制定された城戸賞が今年、48回目を迎えた。映画製作者として永年にわたり日本映画界の興隆に寄与し、数多くの映画芸術家、技術家等の育成に努めた故・城戸四郎氏の「これからの日本映画の振興には、脚本の受けもつ責任が極めて大きい」との持論に基づき、新しい人材を発掘し、その創作活動を奨励することを目的とした本賞。これまでも「のぼうの城」(11)、「超高速!参勤交代」(14)など受賞作が映画化され大ヒットした例もあることから、本賞への注目度は映画界の中でも圧倒的に高い。ただ、当然と言えば当然なのだが、入選のハードルは著しく高く、今年も9年連続で「入選作」が選ばれなかった。

応募対象作品は一昨年499篇、昨年443篇、そして今回は359篇となる。その中から10篇が最終審査に進み、準入賞を果たしたのは竹上雄介氏の「ひび」と福田果歩氏の「ぼくたちの青空」の二作品、佳作として仲村ゆうな氏の「今度選ぶなら君にしたい」、島田悠子氏の「獣医はステキなことだらけ」の二作品が受賞した。準入賞二作品のシナリオ全篇を別項で紹介するとともに、最終審査に残った10篇の総評と受賞作品の各選評を掲載する。

まずは受賞式当日の脚本家・井上由美子氏のスピーチから。

最終審査員・井上由美子氏の講評

城戸賞最終審査は、映画監督、脚本家、映画評論家、各映画会社のプロデューサーが集まって、熱い議論を戦わせて毎年選考をしております。本年も島谷能成委員長が見守る中、厳しくも温かい選考が行われました。

応募総数は359篇で最終選考に残ったのは10篇でした。その中で大きく票を集めたのは、準入賞となった竹上雄介さんの「ひび」と福田果歩さんの「ぼくたちの青空」でした。
「ひび」は幸福をつかみ損ねたヒロインのどこにでもある日常が魅力的に描かれ、巧みなセリフに評価が集まりました。

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「ぼくたちの青空」はヤングケアラーを題材に家族の絆を描いた作品で、現代的な問題を通り一遍ではない独自の切り口で描いていました。

この2作品が頭一つ抜けていましたが、佳作となった2作品にも高い評価が集まりました。仲村ゆうなさんの「今度選ぶなら君にしたい」は若者たちの恋愛模様にミステリー要素を加えた新鮮な作風が面白く、島田悠子さんの「獣医はステキなことだらけ」は獣医師の仕事模様をリアルにいきいきと描いていました。

また惜しくも選には洩れましたが、最終選考に残った作品はいずれも作者の思いが詰まっていました。特に昭和のプロ野球スカウトの世界を描いた「ダイヤモンドを獲れ」には一部の映画会社の方から大人のエンタメとして映像化に近い作品という声が上がっていました。

城戸賞はこの9年間入選作を出していません。しかし、それは作品のレベルが落ちているからではありません。数あるシナリオコンクールの中でも屈指の作品が集まる城戸賞だけに慎重にそして熱い審査をしている結果だと思います。

こんな時代にこそ娯楽が必要で、映画館の闇で2時間映画を見ることは本当に人を救います。日本人を、そして世界の方々を救うシナリオを書いていただけることを心から望みます。

 

左から準入賞を果たした竹上雄介氏、福田果歩氏、佳作の仲村ゆうな氏、島田悠子氏
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