
「後藤製菓」は大分県臼杵市(うすきし)にある、創業大正8年の老舗煎餅屋さんです。その看板商品である「臼杵煎餅」は、江戸時代に臼杵藩の領主が江戸への参勤交代の途中の食料として、米・麦・アワ・ひえなどを材料に作り上げた携行食が始まりといわれています。
その後、小麦粉が主材料になり、かつてこの一帯が生姜の一大産地であったことから、生姜味の蜜を塗って仕上げられるようになったそうです。
2020年のコロナ禍の中で、多くの菓子店が新たな情報発信に取り組みましたが、私も偶然、この「臼杵煎餅」の製法を指南する動画配信を目にしたのです。
臼杵産の有機生姜と砂糖で作った蜜を刷毛で一枚一枚丁寧に手塗りする伝統製法に、とても心惹かれました。
そんな「後藤製菓」が2019年に創業100年を迎え、「ここ臼杵から、大分、そして世界に向けて発信していく」という気持ちを込めて生み出した新ブランドが「イクス・アティオ」。
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「大分 臼杵(OITA USUKI)」を逆から読むことで、これまでのトレンド発信の流れを逆転させようというコンセプトを表しています。
そのシリーズ最初のお菓子「百寿ひとひら」は、大分県産の素材にこだわった、直径5cm弱ほどのかわいいサイズのお煎餅。
地場産の有機生姜・有機かぼす・クロダマルという黒大豆から作られるきな粉を使用した3種があります。櫛のような道具を使って描かれる糖蜜の緻密な縞模様もモダンです。
今までの百年も、これからの百年も変わらずに、1枚1枚丁寧に手掛けていくという想いから、「百寿ひとひら」という商品名にしたそう。伝統をベースに現代的な感覚で進化させた、長く愛される品になることでしょう。
まずは、ベーシックな生姜味を味わうと、品の良い甘さの糖蜜から、少しぴりり、じーんとする辛味が広がり、後を引きます。