
2023年1月7日で59歳を迎えるニコラス・ケイジ。映画デビューから40年、超大作から低予算のB級まで出演作は100本を超え、いまだ主演映画が次々にリリースされている彼はまさにハリウッドの生きるレジェンド。そんなケイジのキャリアを改めて振り返ってみたい。
【映画サイト「スカパー!映画の空」とのコラボ記事】
オスカー受賞を果たし、ハリウッド大作にも次から次へと引っ張りだこ!ケイジの映画デビューは青春コメディ『初体験/リッジモント・ハイ』(1982年)の端役の一人で、当時は本名の「ニコラス・コッポラ」を名乗っていた。ところがオーディションでは叔父であるフランシス・フォード・コッポラの話ばかり聞かれることから、「ニコラス・ケイジ」に改名。その後はベトナム帰還兵を描いた『バーディ』(1984年)や赤ちゃん争奪戦を描いたコーエン兄弟のコメディ『赤ちゃん泥棒』(1987年)などに出演し、シリアスからコメディまでこなす若き演技派として注目を浴びた。ちなみにケイジは叔父コッポラを敬愛しており、彼の作品にもたびたび出演している。
ケイジの初期代表作がデヴィッド・リンチ監督作『ワイルド・アット・ハート』(1990年)だ。若い男女の逃避行を描いたこの作品で、ケイジはヘビ革ジャケットを羽織ったプレスリーかぶれの青年を熱演。大げさにポーズをキメたり、派手なダンスやケンカなど熱血漫画の主人公さながらの演技で観客のド肝を抜いた。

自然に役になりきるフォトリアルなメソッド演技とは対照的なこのスタイルは、心を病んだサラリーマンを演じた『バンパイア・キッス』(1988年)あたりから見られたケイジの持ち味。ドイツの表現主義や日本の歌舞伎も取り入れたという自身のパフォーマンスを、ケイジはのちに「ヌーボー・シャーマニック」と命名した。破滅的なアルコール依存症の脚本家を演じた『リービング・ラスベガス』(1995年)、狡猾な犯罪王と彼に扮した家族思いの捜査官を演じ分けた『フェイス/オフ』(1997年)も、そんならしさを生かした彼の代表的な作品だ。
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ケイジは、『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞をはじめ数々の映画賞に輝き、トップスターの仲間入りを果たす。そんな彼に目を付けたのがハリウッドの大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーだった。
FBIがクーデターに挑む『ザ・ロック』(1996年)ではショーン・コネリーの相棒役にケイジを起用。映画は大ヒットし、続く『コン・エアー』(1997年)では主役を任せた。ケイジが演じたのは、身重の妻を守るため暴漢を殺害し、7年間の刑に服した元軍人のキャメロン。乗り合わせた囚人護送機がハイジャックされたことから、機内で孤軍奮闘するアクションスペクタクルだ。

口調や顔つきからしてコワモテとはほど遠いケイジは、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーなど筋骨たくましいアクションスターと比べて体格も控えめ。そんな彼が、身のこなしや口調でキャメロンをヒーローに仕立てるところはさすが演技派の面目躍如だ。これ以降ケイジは、マーティン・スコセッシ監督作『救命士』(1999年)、名作カーアクション『バニシングIN60”』(1974年)のリメイク『60セカンズ』(2000年)などハリウッド大作で活躍する。
『ナショナル・トレジャー』(2004年)で、ケイジが演じたのは冒険家で歴史学者のベン・ゲイツ。映画は大ヒットしシリーズも製作されたが、やはり知的な探求者を演じた作品に『ノウイング』(2009年)がある。ここで演じたケストラーは、ある数列が書かれた一枚の紙から、地球規模の真実を導き出す宇宙物理学者。取りつかれたように謎解きに打ち込むその演技は、観る者を引き込んでいく力強さに満ちていた。

スナッフフィルム(殺人を写した映像)を追う探偵を演じた『8mm』(1999年)や、謎の消失現象に直面した旅客機パイロットを演じた『レフト・ビハインド』(2014年)でものめり込み型の主人公を演じ、鬼気迫る姿でサスペンスを盛り上げた。

アメコミファンでコミックブックのコレクターとして知られるケイジ。かつてティム・バートン監督による「スーパーマン」映画に主演が予定されていた彼が、初めて出演したヒーロー映画が『ゴーストライダー』(2007年)だ。彼が演じたのは悪魔と契約したためゴーストライダーになったジョニー・ブレイズ。悪党どもに他人に与えた苦痛と同じ苦しみを与える「贖罪の目」を武器とする、異色のダークヒーローだ。
