アクションスポーツ業界を牽引するエナジードリンクブランド「Red Bull」が主催する「Red Bull Circle of Balance」が2022年12月17日(土)にアメリカ合衆国のルイジアナ・ニューオーリンズにて開催された。今大会は世界中から招待された16名のトップBMXフラットランドライダーによりチャンピオンの座が争われ、カナダのジーン・ウィリアム・プレボーストが優勝、2位に日本の片桐悠、3位に同じく日本の早川起生が入った。

photograph by Jeff Zielinski / Red Bull Content Pool
「Red Bull Circle of Balance」は2002年から開催されている歴史あるBMXフラットランドの世界大会。世界各国で開催されてきたこの大会は2012年に日本の京都府で行われた第4回大会以降開催されていなかったが、今回10年ぶりに復活し第5回大会として初めてアメリカの地での開催が実現した。
第5回目となった今大会は、ベテランBMXフラットランドライダーのテリー・アダムスのホストの下、彼の地元であるニューオーリンズで開催。会場となった「マルディグラワールド」には500人の観客が集まり満員に。観客はライダーたちの白熱した戦いを至近距離で観戦できるため終始大盛り上がりの中で大会が行われ、その模様はRed Bull TVで世界中にライブ放送された。

photograph by Jeff Zielinski / Red Bull Content Pool
今大会はトーナメントにてノックアウト方式のバトルフォーマット。2人1組で組まれたバトルでは対戦するライダーが2本のランを交互に走り、1本目は60秒間、2本目は90秒間という決められた時間の中でトリックを披露する。そのランを世界チャンピオン経験を持つレジェンドライダー5名がジャッジとして様々な観点から総合的に採点し優位だと判断したライダーを選択し、そのジャッジたちの多数決で勝者を決めていく形だ。
以下は今大会で大注目となった決勝戦の様子である。
大会の様子

左から片桐、荘司、佐々木の順
photograph by Jeff Zielinski / Red Bull Content Pool
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今回の「Red Bull Circle of Balance」には日本人選手から、今年のX Games Chibaやワールドカップでも優勝という快挙を残した早川起生、今年度の世界チャンピオンとなった佐々木元、ワールドカップでの入賞経験を持つ荘司ゆう、そして先日キメラエーサイドファイナルにて名だたる世界の強豪を抑え優勝した片桐悠の4名が出場した。
世界のトップライダーたちが決勝トーナメントにて凌ぎを削って争う中、決勝戦に勝ち上がったのはジーン・ウィリアム・プレボーストと片桐悠。前日に行われたシーディングランではプレボーストが2位、片桐が1位と今回特に良いランを魅せていた2人が決勝で激突。世界で数々の快挙を残してきたトップライダーと、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成績を上げている若手の実力者がチャンピオンの座を争うという手に汗握る戦いとなった。

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先攻でランに入ったのはカナダのジーン・ウィリアム・プレボースト。プレボーストはラン1本目の始めからフルスピードでトリックに入り、自身の得意とするスピン系のリアトリックを披露。バックスピンの中で前後にバイクをスイッチしたりフレームを跨ぐトリックの高い完成度に会場は最初から最高潮。また大きな身体と長い手足の活用して自分の懐でバイクを一周させる動きはまさに彼だからこそ成しえる技だ。

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その後のラン2本目ではその長い脚を使い、ヘッドの部分から縦にフレームを跨ぎペグに足をかけながらバランスをとっていく。ただでさえバランスを取ることが難しい体勢にも関わらずペグからペダルに両足をスイッチしさらにバランスが取りづらい体勢へ。その体勢からバイクを半回転させてスタンスを戻しメイク。見事なトリックに周りで見ていたライダーたちからも歓声が湧いた。
その勢いのまま入った次のルーティンでは、バイクを前後に持ちかえたりハンドルを回転させる流動的なリアトリックの中で、高速バックスピンや彼の代名詞でもあるヘッドの部分から縦にフレームを跨ぎスピンをするトリックも完璧にメイク。そして残り時間わずかで臨んだルーティンはリアトリックのスタンスで、後ろ向きに反転させたバイクのハンドルを腰にかけながらペグに片足を置いてバランスを取る高難度な動き。そのままの動きからペグの上で足をクロスさせてバイクを回してフィニッシュ。見事パーフェクトランをメイクした。

photograph by Jeff Zielinski / Red Bull Content Pool
後攻でのランとなった片桐悠はリアトリックを中心に、高いバイクコントロール力でバイクを回して前後に持ちかえて難しい体勢からバックスピン。そのバックスピンの最中にもハンドルやバイクを持ち替えていき、無駄のないコンビネーショントリックを加えたルーティンで高い技術を見せる。しかしそのあとは足をついてしまうスリップダウンのミスが続いてしまう形でラン1本目を終えた。

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