さらに元日に続いてキッドが参戦したことで、ジュニア戦線はタイガーマスクとキッドの名勝負数え唄が売り物になった。
「新日本は、全日本のように札束では引き抜かない。猪木イズムに惚れ、共鳴するレスラーを猪木のポリシーで引き抜く。今年も過激に仕掛けます」(新日本・新間寿取締役営業本部長)と新日本は強気な姿勢を崩すことはなかった。
そして新春シリーズの天王山で、馬場も猪木も大勝負を迎えることになる。まず猪木が、1月28日の東京体育館でブッチャーと初めての一騎打ち。ブッチャー参戦からじっくりと半年間温めてきたカードだ。
一方の馬場は、2月4日の東京体育館で「鉄は熱いうちに打て」と早くもハンセンと一騎打ち。
同じ会場で、しかも1週間違いでの大一番。82年の日本プロレス界は、馬場と猪木の両巨頭の勝負から本格開戦となった。
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小佐野景浩(おさの・かげひろ)元「週刊ゴング編集長」として数多くの団体・選手を取材・執筆。テレビなどコメンテーターとしても活躍。著書に「プロレス秘史」(徳間書店)がある。