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『舞いあがれ!』試験結果に流れる涙 舞が合格できた理由と、柏木と水島の関係性を考える

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『舞いあがれ!』写真提供=NHK

 みんながみんな、受かるわけじゃない。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』第47話では、プリソロチェックの結果が発表され、水島(佐野弘樹)だけが不合格になってしまった。

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 プリソロチェックは、柏木(目黒蓮)、舞(福原遥)、水島の順で行われた。柏木はあれだけ皆が協力して地形を叩き込んだおかげで、当日も元からあった冷静さに加え的確な誘導ができている点を評価される。次に舞が試験を受けるも、着地時に強い風に流されてしまい、再度チャレンジするというハプニングが。舞も柏木に付き合ってもらって、頑張って最後の着地を何度もイメージトレーニングした。しかし、再び着陸をした際にも結局はセンターからずれてしまう。

 ただ、この際の舞の「再チャレンジ」という判断が功を奏した。彼女のフライトが完璧ではなかったのに合格判定が出た理由は、急な横風に対して無理やり着地を試みなかったと言う判断があったからこそである。舞の判断力は、これまでも随所で光ってきた。たとえば柏木がチームに八つ当たりをしていたとき、天候を理由に彼女がフライトをやめようと判断した時。闇雲に「飛ぼう」という柏木に押されずに、しっかりと止めるべき理由を話せていた姿が印象的だった。舞はもともと決して自己主張が強いわけでもなく、倫子(山崎紘菜)のように気が強いわけでもない。ただ、ことフライトにおいては自分のことより、“乗っている人を危険に晒さない”という信念を持っている。ここが、「孤独で全て完璧に一人でこなす冷静なパイロット」像を選ぶ柏木と、舞の大きな違いだ。彼女のフライトには、常に“誰か”が存在する。加えて、子供の頃から静かに周りを見ていたであろう彼女の洞察力も高く、大河内教官(吉川晃司)はこれまでも彼女のその冷静な判断を目の当たりにし、評価してきたに違いない。だからこそ、プリソロチェックでも舞が“危険”と判断されなかったのだろう。

 事前にあった説明を振り返ると、プロソロチェックでフェイルの判断が下される大きなポイントは、「その学生がこれ以上(フライトを)続けることが“危険”かどうか」だ。そのため、このテストにおいては完璧ではなく“危険ではない”生徒の姿勢を問われたように思える。水島は、これまでのテストフライトと同じように管制塔との連絡でミス。しかし、そのミスの仕方がまずかった。彼は管制塔からの指示が“聞こえたふり”をしてしまったのだ。これはもし、本番で乗客を乗せている状態と仮定したら一番パイロットがやってはいけないこと。それ以上に、自分のミスを素直に認められなかったことが彼の不合格の大きな敗因となってしまった。それを指摘するのは、少し前まで自分がそうだった柏木。自分が乗り越えたからこそ、自分よりも簡単に乗り越えられそうだったはずの水島に対して、己のことのように悔しく思ったのかもしれない。

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 柏木と水島には、“ダディーイシュー”を抱えたキャラクターという共通点があった。柏木は、子供の頃あまり家にいなかったが、海外の土産話をしてくれる父に憧れを持ち、彼と同じパイロットの道を選ぶ。一方、水島は大手チェーンを営む父の跡取りにはなりたくなくて、半ば反抗するかのように彼と違う道――、パイロットを選んだ。しかし、二人とも常に感じるのは父親からの期待と重圧、そして焦燥感である。水島の父親がパイロットになる息子を認めなかった一方で、送ってきた缶詰の量が“途中で帰ってくる”ことを想定していない量だったという事実に泣けてしまう。水島も水島で、これまで何も続いてこなかった自分の目標を、初めて彼に応援されている気持ちになれていたのではないだろうか。それに気づけたのではないだろうか。だからこそ、彼の結果に……結果を聞いた彼の素振りに胸が痛む。

「親父の代わりに言ってやる、お前は絶対ダメなんかじゃない」

 その柏木の言葉に、堪えていた涙と悔しさが溢れ出てしまう水島。こういうとき、自分以上に他者が自身の気持ちを気遣ってくれると余計泣けてくるものだ。そしてこの言葉は、「父親」を強く意識することにおいてチームの中で最も似た立場で理解してあげられる柏木だからこそ、伝えてあげられた言葉である。柏木も、初期の頃と比べるとびっくりするくらいの変貌を遂げて、わんわんと泣く。舞も水島を抱きしめて泣いた。舞なら大河内の厳しさの奥にある優しさに気づけると思っていたからこそ、水島の結果に納得できず、大河内監督に話に行ったシーンに感じてしまった、驚きと違和感。

「努力してパイロットになれない学生もいる」

 その言葉を舞がもう一度考え、教官の気持ちや立場に寄り添ってくれることに期待したい。(アナイス/ANAIS)

 
   

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