ヘーゼルナッツはパティスリーでよく使われている素材で、ピエール・エルメ氏も甘みと香りを好んで食しており、ラズベリーは同氏のパティスリーでも人気のイスパハンというプティガトーの重要な素材のひとつなのだという。
ただ単純にフレーバーを施すのでなく、世界一のパティシエが設計するのだから、そのこだわりはかなりのもの。ピエール・エルメ氏は「ローストしたヘーゼルナッツは甘みと香り、口当たりが良くて苦味がない。そのベストなヘーゼルナッツの味と香りを表現できるようにネスプレッソの開発陣と試作を重ねました。コーヒーを鼻に近づけるとヘーゼルナッツの香りが感じられるように、そして味はローストしたヘーゼルナッツの甘さが口に広がるようにとこだわりました」「ラズベリーは潰した際に特別な味と香りがでてくるのですが、その時の味と香りをフレーバーとして再現したかったのです」と述べた。
フレーバーコーヒーはブラジル、コロンビア、エチオピアなどのコーヒー豆をブレンドし、焙煎したあとに、ピエール・エルメ氏が設計したフレーバーを施し、カプセルに封入される。
発表会では、自らが開発を手がけたコーヒーを改めて口にしたうえで、「数ヶ月前、開発していた時に飲んだのと同じ素晴らしい味。ネスプレッソの開発チームがカプセルコーヒーにして一般販売できることになったのはおめでとうと伝えたいし、感謝ですね」と総括した。ピエール・エルメ氏がコロンビアを訪れて生産地から選定したり、フレーバーを設計し、香りと味わいにこだわりぬいた一杯がカプセルに封入され、ボタンを押すだけで誰もがその味を再現できるのだから、ありがたい。
ここで改めて、鈴木氏がネスプレッソを評価していた理由が見えてくる。ちなみに鈴木氏はアレクシス・ロドリゲス氏とも親交があり、コロンビアの生産地も知っているからこそ、ネスプレッソの真価に早くから着目していたという。なおネスプレッソはカプセルコーヒーだけでなく、コーヒーメーカーの抽出技術やリサイクルプログラムなどコーヒーに纏わる独自のテクノロジーやシステムを確立している。それについては、また改めてご紹介したい。