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「世界シェア1位」の意外な日本企業5選

日刊ホントの話

国内には高い競争力を有している企業が数多く存在します。たとえばインキや建材などの樹脂や耐熱バーコードといったニッチ分野で多いようです。

経済産業省はこういった世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、サプライチェーン上で重要性を増している企業などを「グローバルニッチトップ企業100選」として選定しています。2020年版では249社の公募から113社が選ばれています。内訳としては「機械・加工部門」61社、「素材・化学部門」24社、「電気・電子部門」20社、「消費財・そのほか部門」8社です。今回はこの中から特に業界シェア100%のシェアを持つ企業の中から5社を取り出してみます。

●大阪ソーダ(ダップ樹脂)

 大阪ソーダは1915年設立、大阪市に本社のある素材・材料メーカーです。売上高は1013億円、従業員は562人。業界シェア100%なのは「(電子部品、インキ、建材など向け)ダップ樹脂」です。ダップ樹脂(別名:ジアリルフタレート樹脂)とは電気絶縁性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、成形性、速乾性などに優れた「熱硬化性樹脂」です。

 印刷用UVインキ(紫外線を受けて固まるインキ)で使用されたり、高温、高電圧の環境下で使用される電気部品などにも使用されたりします。ほかにもわたしたちの身近なところでは、ヘッドライトのランプリフレクターや浴槽、洗面台といった場所でも使われています。安全で快適な生活を支えている素材と言っていいでしょう。

●YSテック(超高温対応バーコードラベル)

 YSテックは2005年設立、大阪府吹田市に本社があります。売上高は10億円、従業員は22人という小さな会社ですが、生産している「耐熱バーコードラベル」は世界シェア100%。生産している耐熱バーコード「Heatproof(ヒートプルーフ)」は最高1200℃の被着体に直接貼り付け可能とのこと。また、バーコードは市販のプリンターで簡単に作成可能です。カナダのトロントにある支店から北米での対応も行っています。

●マスダック(全自動どら焼き製造機)

 マスダック(MASDAC)は1957年設立、埼玉県所沢市にある製菓機械メーカーです。特に全自動どら焼機(Sandwich Pancake Machine)がシェア100%です。この企業の売上高は122億円、従業員260人となっています。全自動どら焼機は、どら焼の生地充填、あん充填、合わせ、耳締めまでを自動でおこなう機械。ラインナップには850個/時のタイプから12000個/時のタイプがあったり、ガス式と電気式を選ぶことができたりするようです。

 また中国をはじめとして、韓国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイなどでも原材料の使い方から製造技術指導を行っています。またオランダのアムステルダムには「マスダックインターナショナル」を設立し、ドイツ、フランス、イタリアなどで全自動どら焼き機の特許を取得しています。

●ティ・ディ・シー(超精密鏡面加工技術)

 ティ・ディ・シー(TDC Corporation)は宮城県利府町に本社のある「超精密鏡面加工技術」を有する企業です。設立は1989年で売上高6億円、従業員数は56人。一般的な精密研磨加工は「ミクロン単位での研磨加工」(「1ミクロン」とは1ミリの1000分の1で「1マイクロメートル」と同じ意味)です。これに対してティ・ディ・シーの持つ「超精密鏡面加工技術」では1マイクロメートルの1000分の1というナノスケールの精度での加工が可能とのこと。

 これにより、精密機械の部品、半導体ウエハ、カメラレンズなどで高精度の加工が可能となります。このためには温度や湿度の管理、パーティクル(空気中を漂う粒子など)のないクリーンな環境整備が必須ですが、ティ・ディ・シーはこういった繊細な環境を保持しています。またこの技術ではやぶさ2のサンプルコンテナの制作にもかかわり、小惑星物質を入れるキャッチャーの内面を磨いています。

●天池合繊(超極細糸による衣料織物)

 天池合繊(AMAIKE TEXTILE INDUSTRY)は本社を石川県七尾市におく衣料メーカーです。設立は1965年、売上高2億円、従業員43人の会社です。この会社の製品は世界最軽量の極薄素材で作られます。使われる糸は髪の毛の約5分の1(7デニール)という細い糸。また再生ポリエステル糸を組み合わせたエコロジカルな商品も展開しています。ここで作られる衣料素材は、ファッションだけでなく、舞台衣装、ミュージシャンやダンサーの衣装、映画やアート作品などでも使われているようです。

●汎用性、繊細さ、オートメーション技術で優れた技術

 シェア100%までには行かなくとも、自転車の変速機などで圧倒的なシェアのあるシマノ、産業用ロボット向け精密減速機のナブテスコ、大型水槽向け大型アクリルパネルの日プラなど、業界でかなり多くのシェアを持っている企業がほかにもたくさん並んでいます。日本の技術は特に精細さ、繊細さといった点でかなり強いことがわかります。それと同時に優れた汎用性のある素材や、いくつかの細かい技術を組み合わせたオートメーションといった点でも、特筆すべきポイントがあることが見て取れるのではないでしょうか。

<参考サイト>
2020年版グローバルニッチトップ企業100選|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/gnt100/index.html
隠れた日本企業のチカラ│日経新聞
https://vdata.nikkei.com/prj2/ft-jpglobal-c/
ダップ樹脂(ジアリルフタレート樹脂)|株式会社大阪ソーダ
http://www.osaka-soda.co.jp/ja/prd/synthetic/dially_phthalate.html
事業概要|YStech
https://ys-tech.jp/
全自動どら焼機(SDR-KAM)|MASDAC
https://www.masdac.co.jp/products/sdrkam/
精密研磨加工と超精密研磨加工との違いは?|Fine Polish TDC
https://mirror-polish.com/service/
世界最軽量の極薄生地を織る技術|Amaike
https://amaike.jp/textile/index.php

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