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小松左京の未完の大作『虚無回廊』をプログレに? 異色のバンド・金属恵比須が語る、ロック×文芸の可能性

Real Sound

 世界的にヒットした中国SF『三体』の著者・劉慈欣が、小松左京から影響を受けたことは知られている。この日本SFの巨匠は、2011年の没後も代表作『日本沈没』がアレンジされてアニメとドラマで再映像化され、コロナ禍でパンデミックSF『復活の日』が再注目されたのに加え、最近は徳間文庫「小松左京“21世紀”セレクション」(続刊中)、角川ホラー文庫『厳選恐怖小説集 牛の首』といった選集が刊行されるなど、再評価の波が続いている。そして今回、未完の大作『虚無回廊』を音楽化したのが、金属恵比須だ。このプログレッシブ・ロック・バンドは、以前にも作家・伊東潤とのコラボで歴史小説『武田家滅亡』を音楽化するなど、文芸路線を歩んできた。彼らはいかにしてロック×文芸の道に目覚め、小松左京と出会ったか。リーダーの高木大地に聞いた。(円堂都司昭/11月22日取材・構成)

参考:芥川賞作家・高橋弘希が語る、新境地バンド小説の裏側 音楽を志す若者たちの群像劇

■人間椅子の和嶋慎治さんになりたかった

――バンドの結成は。

高木:1991年の小学5年生の時です。他の友達と趣味を差別化したいと思ってバンドを始めました。親がピンク・フロイド、キング・クリムゾンなど1970年代のロックを大音量で聴いていたので、僕も年上の方々と同じ音楽趣味になってしまいました。小学校や中学校にはプログレ好きの先生が何人もいて可愛がられましたよ(笑)。

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――公式サイトによると、バンド名が金属恵比須になったのは1996年(当時は旧字表記)。

高木:イギリスのロックを聴いていて、中学卒業間際に四人囃子と出会い日本語のロックのやり方に気づいた。1カ月後、人間椅子に出会って、彼らのコピーをしながらオリジナルを作るようになったのが「金属恵比須」と名乗ってからです。

――人間椅子といえば、江戸川乱歩の短編小説のタイトルをバンド名にして、小説を題材にした曲を多く発表しているハード・ロック・バンド。

高木:人間椅子『無限の住人』がリリースされた時、「文芸ハード・ロック」というキャッチコピーに衝撃を受けました。こういうことをプログレでやりたいなと思いました。なおその時のレコ発ライブでドラムを叩いていたのが現メンバーである後藤マスヒロでした。縁を感じます。

――プログレッシブ・ロックというと、複雑な構成で曲が長くて変拍子が混じるイメージです。1970年代のキング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、エマーソン・レイク&パーマー、日本なら四人囃子あたりが代表的。曲が長いぶん、ファンタジーとか物語的な詞も多かった。プログレ的な長いオリジナル曲は、早くから作っていたんですか。

高木: 1995年にNHK教育テレビ『天才テレビくん』に出演することが決まり、初のオリジナル曲である7分の「豚」を演奏しました。でも、複雑な構成的で長くなったのではなく、7分という時間数自体が欲しくてソロを伸ばしたぐだぐだな曲でした。NHKでは40秒しか流れなくて悲しかったけれども当然ですよね(笑)。金属恵比須になった高1で最初に作ったのが、10分ある人間椅子風の「快楽症候群」という曲でそれ以来、ずっと長い曲を作ってきました。

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