
女手一つでヒカリを育ててきたまひる。二人はある日、新居のソファーの後ろに見覚えのないドアを見つける。ドアを開け階段を上ると、そこには謎の男・凛が暮らしていた。徐々にヒカリと仲良くなる凛に文句を言い放つ一方で、まひるは凛に対し妙な懐かしさを覚え始める――。※本記事は、青空氏の小説『幽霊に恋してます 千年の愛』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
2+1は……
~解けた氷~
参観日の日、ヒカリはいつもの様に明るく登校して行った。凛は慣れない背広を着て鏡を見て、色々ポーズを取っている。声の調子も、一人で発声練習している自分を鏡で見て「OK」と言って出かけて行った。ヒカリの学校では、授業参観が開かれていた。凛は静かにクラスの中に入って行った。
なにやら、後ろが騒がしいのに気が付き、ヒカリが振り返るとそこには凛の姿があった。凛は自分に気がついてくれたヒカリに嬉しくて、手を振った。ヒカリは恥ずかしそうに、凛に手を振り返した。
クラスの女子達が騒ぎ出し、クラス中がざわついていた。帰りの会が終わるとクラスの女の子達が、ヒカリの周りに寄ってきて
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「ヒカリちゃんのパパカッコいいね~。家のパパなんか、おじさんだから来て欲しくないもの!」
「今度、ヒカリちゃんの家に遊びに行っていい?」と、大騒ぎになっていた。
ヒカリは、少し誇らしかった。
ヒカリは楽しそうに凛と手を繋ぎながら学校を出た。ヒカリは照れくさそうに、「ありがとう」と、凛に言った。
凛も父親らしく、「父親参観にも行くからしっかり勉強するように!」と笑い、2人は家に着いた。
その夜、中庭にまひると凛の姿があった。