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南沙良、ミニシアターを巡る Vol.26 目黒シネマ(後編)

MOVIE WALKER PRESS

南沙良、ミニシアターを巡る Vol.26 目黒シネマ(後編)

「DVD&動画配信でーた」と連動した連載「彗星のごとく現れる予期せぬトキメキに自由を奪われたいっ」では、私、南沙良がミニシアターを巡り、その劇場の魅力や特徴をみなさんにお伝えします。第26回は目黒にある「目黒シネマ」さん。支配人の佐藤公男さんとの対談の模様をお届けします!

■「スタッフ一人ひとりの“顔”が見える、温かいミニシアター」

南「目黒で唯一の映画館なんですね。実は以前まで所属事務所がこの近くにあったので、目黒シネマさんはよく見かけていました」

佐藤「目黒って、渋谷や新宿みたいにエネルギッシュでミニシアターの競争が激しい街に比べると落ち着いた街ですよね」

南「はい。私もいい街だと思うんですが、買い物や待ち合わせでよく使われる新宿駅や渋谷駅に比べると、目黒駅でわざわざ下車する人はあまり多くなさそうです」

佐藤「でも、お客さまは立地より作品で来てくれます。旧作2本立ての名画座なので男性客が多いんですが、音楽映画をかければ若い方が増えますし、古い名作をかけるとシニア層が増えるんですよ」

南「目黒シネマに来るために、わざわざ目黒に来てくれるんですね。ところで、元々は2館だったとか」

佐藤「前身は1955年にこの場所で開業した目黒ライオン座と目黒金龍座です。1975年に建て替わって目黒オークラ劇場として再オープンし、翌年目黒シネマに改称しました。地下にある劇場だから入りづらい方もいるみたいで、こないだも『ここ映画館なんだ。怖〜い』って言いながら通り過ぎていかれた方がいましたよ」

南「(笑)。作品セレクトの方針は?」

佐藤「いい意味でこだわりがないのがこだわりかな。振り幅が大きいのが特徴です。スタッフやアルバイトの意見を取り入れて編成しているんですが、皆、好きなジャンルがバラバラなので」

南「じゃあ、学生アルバイトさんの提案が採用されることも?」

佐藤「よくありますよ」

南「聞いた話では、『AKIRA』を頻繁に上映されているとか。聖地…ではないんですよね?」

佐藤「前支配人が『AKIRA』を大好きだったんです(笑)。展示物も彼が自ら作っていましたし。年2回上映した年もありますよ」

南「そういえば、いまお話を聞いている事務所のいちばんいい場所に、『AKIRA』の原作が神棚みたいに飾ってある(笑)。働いている皆さんの趣味趣向がすごく反映されている劇場なんですね」

佐藤「それでいうと、うちのオリジナルTシャツの図案は絵のうまい元スタッフが描いたものです」

南「え、この映写機の精密なイラストを!?すごい!」

佐藤「来場者にお配りしている番組表のイラストも、スタッフの描き下ろしなんですよ」

南「(イラストを見て)! 作品をモチーフに、いろんなタッチのイラストが…。すご…」

佐藤「スタッフの中に描ける者が何人かいるので、持ち回りで描いてもらっています。絵が描けるからって採用したわけじゃありませんよ(笑)。お客さまの中には、番組表を毎回楽しみにして収集までしてくださっている方もいます。名実ともに、スタッフの力で成り立ってる劇場なんです」

南「先ほど館内を案内してくれた女性スタッフお二人も、ここで働けていることがうれしくてしょうがないといった表情で、私もすごく楽しい気持ちになりました」

佐藤「彼女たち、前職はそれぞれホテルと市役所なんですが、映画が大好きで、どうしても目黒シネマで働きたいからと転職までして来てくれたんですよ」

南「隅から隅までスタッフの“顔”が見える劇場ですね。すてきです」

取材・文/稲田豊史

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