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TEAM SHACHI、Appare! ロック×ポップスが織りなすオリジナリティ溢れたアッパーな新譜|「偶像音楽 斯斯然然」第96回

Pop’n’Roll

Appare!「さんざめく」〜Live Movie〜【2022.9.19「Appare!やったれ日比谷野音〜最高の今日になる〜」@ 日比谷野外音楽堂】

野音への強い意気込みがそのままこれからのグループの決意に繋がっていく「さんざめく」で幕開ける本作。邦ロックファンなら祭囃子テイスト溢れるイントロを聴いただけでKEYTALKを思い出す首藤義勝の「Wai Wai ダンスフィーバー」、玉屋2060%節が炸裂するストロングなキラーチューン「絶対猛信デイドリーマー」というロックテイスト溢れる、キャッチーでハイテンションなAppare!らしくあり、これまで以上に強さを感じられる楽曲が印象的だ。草野華余子と岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)による「激奏!アンサンブル」は、表題通り緻密に組まれたドラムが扇動するバンドアンサンブルのスリリングさに心躍らされる。そうしたアンサンブルに絡みながら硬派なメロディをズバズバとキメてくる様相がこれまたアツい。Appare!といえば、華やかなユニゾンパートが印象的であるが、朝比奈れいに藍井すずといった、ロックテイスト溢れるボーカルのソリッドな斬り込み具合いもグッとくる。

激奏!アンサンブル 〜Live Movie〜【2022.7.26「VS野音 其の四」@ Spotify O-EAST】

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まじかる☆ひもりんの「サビからはじまるyoursong」は煌びやかなサウンドプロダクトが楽曲を差配しながらも、緩急つけたテンポ感が捲し立てていくバンドサウンドのフックとなり、心地よい。浅野尚志(作編曲)&NOBE(作詞)の名コンビ「アガレ!」は、クラシカルな旋律を軸に広がっていく楽曲の世界観がたまらない。PENGUIN RESEARCHのベーシストであり、ボカロPとしても活動する堀江晶太の「青いフレア」は、内に秘めた闘志を和情緒で抉っていくような耳馴染みが絶妙。ストリングスに誘われるサビの解放感、軽やかなベースラインとピアノの絡みが美しい曲だ。過去に堀江の手がけた人気曲「アッパライナ」とはまったく異なるAppare!の魅力を引き出した楽曲である。

そして最後の最後「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」。玉屋による中毒性の高いメロディ、というよりも語感とリズムを駆使した絶妙な言葉遊びが弾けまくる。全身全霊を振りかざすアツさを全面に出した同作の他楽曲とは大きく異なり、テンポよくキュートな表情で魅せていくグループの深い懐をも感じさせる。各メンバーのキャラクター性や声色を活かした畳み掛け、コミカルに展開するMVを合わせて観れば、楽曲とグループの魅力が何倍も大きく感じられることだろう。

Appare! 「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」

Appare!は、このコロナ禍においてライブの見せ方が大きく変わったグループであると思う、と以前当コラムで触れたことがる。それはこの夏、日比谷野音という大きな舞台を成功に収めたことにより、さらなるグループの強さになっている。

コロナ以前は、そのハイテンションなライブパフォーマンスでオーディエンスを一気に巻き込んでいく直火型のライブ展開をしていた。しかしながら、コールや声援といった、目に見えるオーディエンスのパワーに頼れることができなくなったぶん、“魅せる”ことでのパフォーマンスにシフトしていったように思う。振り回した腕の軌道、躍動感溢れる足の上げ方、その動きひとつ取ってみても、7人の揃い方が美しい。ダンスを揃えることは、アイドルグループのパフォーマンスにおいて必要なことだが、そこがしっかりできているグループは意外に少なかったりもする。日比谷野音という大舞台を大成功に収め、新たなフェーズに突入したAppare!から目が離せない。

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偶像音楽 斯斯然然

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