公式的には「食のテーマパーク」で、ファンからは「食の無法地帯」「世界で唯一食べ物で遊んで良い場所」などと呼ばれているのが、焼肉と寿司とデザート食べ放題バイキングの「すたみな太郎」だ。
誰もが愛する焼肉や寿司が食べ放題で王様気分を満喫でき、焼き肉用の生肉ほか食材や料理をセルフで取りに行く方式なので、客が自由に食材を組み合わせてオリジナルメニューが楽しめ、そのための「つくっちゃお♪メニュー」というものもあることから、「すた郎」ファンの間では「無法地帯」「食べ物で遊ぶ」といった呼び名になっている。
運営は「江戸一」で、元は駅前の大衆居酒屋だったが、食べ放題なんて言葉が一般的になる前の70年代に今につながるバイキング方式で営業をしていたというから、「食べ放題」の草分け的存在だ。
「その“すた郎”が12月2日に今年2度目となる値上げを行ったのですが、値上げ幅がかなり高いことからファンの間に波紋を広げています。これまで大人のディナーが2480円だったものが今度は3278円となり、8月に最初に値上する前が2310円だったので、なんと1000円近くの値上げになっているのです。率で言えば約1.4倍ですからね」(フードライター)
SNSやネットでは「クオリティを除けばこの世の覇者になれるすたみな太郎」といった書き込みがあるように、質よりもとにかく食べたいものを安くたくさん食べられる、つまりは安さが一番の取り柄だった。だから今回の値上げを受けて、「これはないよ」「3000円払うならほか行く」といった厳しい声が上がっている。そこで「値上げ前に焼肉」といった駆け込みツイートもいくつか。
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だが逆に言えばそれだけ値上げをしないとやっていけないということなわけで、「今までが安すぎた」といった同情的な声も少なくない。
外食で値上げと言えば、いつまでたっても頑として値上げしないことで知られるのがサイゼリアだ。そこで理解あるユーザーからは「頼むから値上してくれ」といった声も上がっている。
してみれば、すた郎もコロナ禍では大量閉店の憂き目に遭っており、値上げ前にもSNSでは全国各地で閉店を惜しむ声が上がっていた。やはり馴染みの店が無くなるくらいなら、やせ我慢せずに値上げして生き残って欲しいというのがファン心理というものなのだろう。
(猫間滋)