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23時の首都高。ドライブデート中に女が放った、「もう少しゆっくりしたい…」の真意とは?

東京カレンダー

男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:深夜までデートしても、彼にタクシーに押し込まれる…。「好き」と言うのに交際しない男の本心とは



「奈帆ちゃん、今夜うちに来ない?」

西麻布交差点のすぐ近くにある店を出て、僕は奈帆に声をかける。時刻はまだ22時半。解散するには早すぎる。

奈帆とは、今日で三度目のデートだった。

初回は高級店へ行き、二回目は僕の愛車でドライブ。

そして今日も予約の取れない超名店でのディナー…。自分でも完璧なプランだと思うし、これで落ちない女の子はいないと信じていた。

けれども、奈帆は六本木ヒルズ方面を見つめて首を横に振った。

「今日は帰ろうかな。明日朝が早いから」
「え?そうなの?」

さっきまで、朝が早いなんて一言も言っていなかった。そして宣言通り、奈帆は流れてきたタクシーをさっさと捕まえ、ひとり笑顔で乗り込んで行ってしまった。

西麻布交差点に、冷たい風が吹く。

そしてこれ以降、何度奈帆を誘ってももう会ってくれることはなかった…。


Q1:最初から女が感じていたことは?


奈帆と出会ったのは友人の紹介だった。華奢な手足に、僕の手のひらにすっぽりと収まりそうなほどの小顔。でも目が大きくて、彼女は完全に僕のタイプだった。

「奈帆ちゃんって、食事だと何が好き?」
「なんだろう。何でも好きだけど、中華とかイタリアンとかかな…」
「中華ね。行きつけの超良い店があるんだけど、今度一緒に行かない?高いけどかなり美味しいから」

初回から、僕は頑張った。

デートの約束をこぎつけたあと、東麻布にある高級中華店をさっそく予約した。



泣く子も黙る、中華の超高級店。ここを知らない女性はいないだろう。けれども、店へ入るなり奈帆が放った一言に僕はちょっとショックを受けた。

「わ〜嬉しい!久しぶりに来るな」

― 来たことあるんかい!!

そう心の中で呟いてみたけれど、本人にはさすがに言えない。だから僕は笑顔で聞き流すことにした。

「さすが、奈帆ちゃん来たことあったんだ」
「あ…。ごめん、男性の前ではこういうこと言わないほうがいいよね」
「ううん、大丈夫」

ここで大人の余裕を見せつけることも大事だ。小さい男と思われたくもない。

「真也くんは、よく来るの?」
「うん、そうだね。こういう綺麗な女性との食事の時とか、よく使うかな」
「そうなんだ。なんかすごいね」
「そう?(笑)」

美味しいお酒と食事が楽しめる、究極の空間。この店へ連れてきて嫌な人なんていない。

だから僕は気に入った女性がいると、こういう店で初デートをすると決めていた。

「美味しい食事って、最高じゃない?あとここ雰囲気も好きで。サービスも抜群だし」
「このお店を普段使いしているのがすごいわ…」

そう言いながら、奈帆が憧れと恍惚の視線を僕に向けていることに気がついた。

― とりあえず、つかみは完璧だな。



「ちなみに、真也くんは今どこに住んでいるの?」
「俺?僕は今『パークコート赤坂檜町 ザ タワー』だよ。知ってる?ミッドタウン裏のタワマン」
「あそこね!すごく良いマンションだよね…」
「一応ね。しかも俺ミッドタウン側だから、景色とか綺麗だよ。今後見に来る?25階だから」
「すごいね!今度行ってみたい…♡」

ここまで持ち込めれば、毎回の勝ちパターンだった。

タワマンの高層階と言えば、女性たちの目の色が変わる。それを知っているし、ここから次の一手は簡単だ。

「良ければ、次はドライブデートしない?紅葉の季節は終わっちゃったかもだけど、走るの気持ち良いから」
「うん、ぜひ!楽しそう」

こうして僕たちはすぐに二回目のデートの約束をし、会うことになった。そしてこのデートも、完璧だったと思う。


Q2:女がデート中、ずっと思っていたことは?


そして迎えた二度目。僕は愛車で、奈帆の家の下まで迎えに行く。本当は昼過ぎくらいから会いたかったけどお互いの都合が悪く、夕方からになってしまった。

だったら日を改めようかとも思ったが、今日のメインは車だった。だから時間はどうでもいいだろう。

そして案の定、迎えに行った奈帆は僕の車を見るなりかなり驚いていた。

「これ、真也くんの車?すっごくカッコいいね」
「まあね。一応2,000万くらいするから」
「え…そんなにするの?」

シートベルトをしようとしていた奈帆の手が止まる。その動きが面白くて、僕は思わず笑ってしまった。



「はは。そんな緊張しなくて大丈夫だよ」
「でも…」
「とりあえず、今から横浜のほうへ行こうかなと思って。ご飯食べに行こう」
「いいね。ありがとう…って、すごいこの車スピード出るんだね」
「あぁ、ごめん。急発進して。まぁ馬力があるから」

僕はもともと車が好きで、惜しみなく投資するタイプだった。この車もかなりこだわった自慢の愛車だ。

「このシートも自分でこだわったの?」
「そうだよ。カッコイイでしょ」
「うん、初めて見た」

助手席でキャッキャと嬉しそうにしている奈帆。

「あんまりこういう車、乗ったことない?」
「そうだね〜。最近周りで車持っている人が減ってきたからな。そもそも私、車持っていないし」
「いいでしょ?たまには」
「うん、最高♡」

横浜までの車中で、奈帆はずっと嬉しそうにしていた。車のおかげなのか僕のトークなのかはわからないけれど、女の子に喜んでもらえるは純粋に嬉しい。



そして横浜へ到着し、ディナーを楽しんだらもう都内へ戻る時間だ。あっという間だったけれど、奈帆は楽しんでくれたらしい。

「横浜ってあまり来ないけど、良いところだね。真也くん、連れてきてくれてありがとう」
「いえいえ。奈帆ちゃんが喜んでくれるなら」
「ご飯だけ食べに横浜へドライブデートって、贅沢だよね」

そして帰りの車中もたくさんのことを話しながら僕たちは都内へと戻った。

「今日も楽しかった〜!真也くんありがとう」
「こちらこそ。楽しめた?とりあえず、次は『鮓 村瀬』ね」
「うん。ありがとう!そしてせっかくだから、もう少しゆっくり帰らない?そんな早く走らせたら、あっという間にお家に着いちゃうし…」

23時の首都高で、ハンドルを握る手に思わず力が入る。助手席に座る奈帆からそんなことを言われて、僕はすっかり舞い上がっていた。

そして奈帆の気持ちは、当然僕に向いているものだと思っていた。

なぜならあんなにも嬉しそうにしていたし、デート中のプレゼンも完璧だったから。

しかし三度デートをしたら、奈帆からは何の音沙汰もなくなってしまった。

― なんで…?こんなお姫様気分にさせてあげられるのに。

奈帆が、急に連絡を無視するようになった理由を知りたい。


▶前回:深夜までデートしても、彼にタクシーに押し込まれる…。「好き」と言うのに交際しない男の本心とは

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:12月4日 日曜更新予定
女が男とのデート中にずっと考えていたことは?


 
   

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